日本人の死因の常にトップとなっているのが【がん】であり、多くの方が不安を感じる病気と言えるでしょう。
そのため、生命保険会社では医療保険と言う商品もありながら、医療保険とは別に『がん保険』を販売しています。
それだけ、がんに対する不安も大きく、需要が多い保険と言えるのです。
しかし、がん保険も商品によって特徴が異なり、保険の種類も豊富になって何をどう選べば良いのか解らないと言う方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、がん保険の種類別に特徴を解説しますので、がん保険の選び方のヒントにしてみて下さい。
- がん保険の役割など基本的な説明と選び方!
- がん保険の種類の解説と活用方法の紹介!
- がん保険の注意点とがんという病気について!
- 保険の新規加入や見直しを検討するなら、相談員の約97%が国家資格であるFPの資格を所持している「ほけんのぜんぶ」で無料で相談することをおすすめします。
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目次
そもそも『がん保険』の役割ってなに?
保険のドリル読者
がん治療に関して、公的医療保険だけに加入していれば大丈夫なのでしょうか?
がんに備える良い方法があれば教えて欲しいです。
松葉 直隆
がん治療は公的医療保険が適用される!?
がん治療には、がんの病巣を直接取り除く【手術療法】、放射線をあてがんを死滅・抑制する【放射線療法】、抗がん剤等の薬物でがんの浸潤・転移を抑える【薬物療法】という3つが三大治療法と言われています。
公的医療保険の適用範囲は確かに広い
この手術療法、放射線療法、薬物療法のほとんどに公的医療保険が適用されます。
公的医療保険は現物給付(診療・治療・薬の処方等)であり、医療費の自己負担分は原則3割に抑えられます。
また、3割負担でも医療費が高額となる場合は、【高額療養費制度】が活用できます。
こちらは公的医療保険の適用される医療費が、自己負担限度額を超えれば、保険者へ申請することでその差額が戻る制度です。
公的医療保険には限界も
患者にとって、とても頼りになる公的医療保険ですが、その適用には限界があります。
例えば、医療機関で入院する場合、有料病室(特別環境療養室)を使った場合に発生する【差額ベッド代】は、公的医療保険の適用外となり全額自己負担になります。
また、【先進医療】も公的医療保険の適用外の医療サービスとなります。
この医療は、保険診療外で厚生労働大臣の定めた医療機関で行われ、厚生労働大臣が承認した最先端の技術を駆使した医療行為です。
特別環境療養室も先進医療も利用できれば、がん治療に大きく役立つサービスです。
こちらの医療費を支援する方法があるなら、お金の問題を気にせず、安心して治療に専念できるはずです。
がん保険は公的医療保険を補完する役割がある!?
がん治療に関する公的医療保険の3割負担および、前述した差額ベッド代や先進医療費(技術料)等に、金銭的サポートを期待できる商品が『がん保険』です。
がん保険は、がん治療に特化した保険商品であり、一生涯保障される【終身がん保険】と一定期間にわたり保障される【定期がん保険】の2種類があります。
このがん保険へ入っていれば、保険診療以上に効果的な治療、そして入院環境で、治療に専念することができます。
各生命保険会社では、がん保険を主力商品と位置づけ、バリエーション豊かな商品を販売しています。
がん治療に手厚いサポートを受けたいなら、各生命保険会社のがん保険を比較検討しつつ、ご自分の理想の商品を見つけ加入しておいた方が、がんを発症しても冷静な対応ができるはずです。
一般的な『がん保険』の保障内容を紹介!
気になるがん保険の保障内容ですが、治療内容に応じて、非常に細かく給付金が設定されています。
一般的な『がん保険』では主に次のような給付金が用意されています。
(1)入院給付金
被保険者が、がん治療で入院した場合に受け取れる給付金です。
差額ベッド代を賄うのに適しています。
受け取れるお金は「日額〇〇〇〇円」という形になっており、この1日の「日額×入院日数」分と言う形でカウントされます。
この日額や支払限度日数(保障上限)は保険会社が設定した中から、自由に選ぶこともできます。
(2)手術給付金
がんで外科手術をした場合に受け取れる給付金です。
回数無制限で適用されている場合がほとんどです。
「入院給付金日額×〇倍」と言う形で給付金額が設定されています。
(3)放射線治療・抗がん剤治療給付金
放射線治療または抗がん剤治療を受けた際に受け取れる給付金です。
こちらも回数無制限、「入院給付金日額×〇倍」と言う形で給付金額が設定されています。
ただし、「60日に1回が限度」と条件も付されていることがほとんどです。
(4)がん診断給付金
被保険者が医師からはじめて、がんと診断確定された時にまとまった一時金が受け取れる保障です。
はじめて診断確定されてから、1年または2年おきに再びがんで入院した場合、更にこの一時金が受け取れる場合もあります。
(5)通院給付金
がん保険では、特約で付加する場合が多い保障です。
通院治療を受けたら受け取れる給付金ですが、その前提として入院が必要となります。
通院給付金の場合も入院給付金と同様、日額でカウントされます。
(6)先進医療給付金
がん保険では、特約で付加する場合が多い保障です。
がん保険では「通算2,000万円が上限」というように設定され、実際にかかった先進医療費(技術費)分が保障される形となります。
がん保険の種類と選び方を解説!
保険のドリル読者
しかし、がん保険にも色々と種類があり保険選びに苦労しそうです。
松葉 直隆
がん保険は大きく分けて2種類!?
がん保険は大きく分けて【給付金型】と【入院・通院保障型】の2つに分けることが出来ます。
それぞれに活用方法に違いがあり、ニーズによって選び方も異なります。
それでは、それぞれを簡単に説明していきましょう。
給付金型はこんな保険
給付金型のがん保険の特徴は、名前の通り給付金に特化した内容となっています。
主な給付金は【がん診断給付金】と言う給付金になり、がんと診断された際に一時金として支払われるのが一般的となっています。
給付金型のがん保険では、この【がん診断給付金】の金額を多くするため、入院や通院の保障がないケースもあります。
あくまでも、がん治療に備えるための資金を確保すると言う目的の保険商品と言えるでしょう。
入院・通院保障型はこんな保険
給付金特化型の【給付金型】に対して、従来型とも言えるのが【入院・通院保障型】のがん保険となります。
この、【入院・通院保障型】と言うのは、医療保険と似た保障内容であり、がん治療での入院・通院・手術をはじめとして診断給付金など、がんに関する治療全般的にカバーできるオーソドックスながん保険と言えるでしょう。
給付金に特化した商品より、診断給付金は少なくなることも多いですが、入院・手術にも対応できて通院なども保障されることから、全般的ながん治療に備えるための保険商品と言えるでしょう。
医療保険でもがんに備えられる!?
がん保険は、大きく2つの種類に分けられる事を解説しましたが、がんに備える方法は『がん保険』だけではありません。
もう一つの方法として、医療保険に【がん特約】と言う特約で、がんに備える方法です。
この【がん特約】の保障内容は、【入院・通院保障型】の内容と同様に、診断給付金や入院・通院に関しての保障となります。
ただし、あくまでも【特約】と言う事から、細かな保障内容はがん保険よりも劣るので、最低限で良いからがんに備えたいと考える方には最適な方法と言えるかもしれないですね。
保険料を少しでも節約したいけど、がんにも備えたいという方であれば、保障内容を確認してから【がん特約】を選んでも良いと言えるでしょう。
がん保険の選び方は考え方!?
【給付金型】や【入院・通院保障型】から、医療保険の【がん特約】など、がんに備える方法は沢山あることが解って頂けたと思います。
そうなると、何を選べば良いのか迷う方も多くなるでしょう。
がん保険の選び方は、あなた自身の考え方1つなのです。
がんを患ってしまった時に、【どう言った治療をしたいのか】【どう言った不安があるのか】【がんに備えるための予算はどれぐらいなのか】など、人それぞれ考え方も金銭状況もすべて異なります。
そして、がん治療に関しては、がんの種類や進行状況などによっても大きく異なります。
自分では入院・通院に備えておいても、実際には投薬や放射線治療が最適な治療だという場合もあります。
先のことは誰にもわからないので、がん保険を選ぶ際には、『そのがん保険がどう言った特徴があるのか?』をしっかりと理解して、自分の考え方と摺り合わせてギャップのない様に選ぶのがベストと言えるでしょう。
それでは次の章からは、【給付金型】と【入院・通院保障型】から【医療保険とがん保険の組み合わせ方】まで、少し細かく解説をしていきます。
がん保険の『がん診断給付金』は魅力のひとつ!?
保険のドリル読者
【がん診断給付金】について、もう少し詳しく教えて欲しいです。
がん診断給付金のメリット・デメリット
がん診断給付金へ手厚い商品を選ぶべきか?
の2つについて解説します。
松葉 直隆
がん治療サポートで最強の保障?
がん診断給付金は、医師から被保険者がはじめてがんと診断確定されれば、給付金が受け取れる保障です。
体力の衰えはもちろん、実際に入院や手術・治療を受けなくても診断だけでまとまった一時金が受け取れます。
その一時金額も各生命保険会社によって異なりますが、50万円~300万円程度と幅があります。
がん治療の早い段階でまとまったお金を受け取れたなら、医療費の心配をせず治療に専念できます。
がん保険では一部の商品を除いて、ほとんどの商品にがん診断給付金が設定されています。
基本保障で設定されていたり、特約で付加できたりする保障ですが、設定して入れば非常に頼もしい給付金と言えます。
がん診断給付金のメリット・デメリット
こちらではがん診断給付金のメリット・デメリットを解説します。
がん診断給付金のメリット
まずは早い段階で、まとまった一時金を受け取れることが最大のメリットです。
前述した通り、数百万円に上る金額がまとめて受け取れます。
がん診断給付金を高めに設定していれば、わざわざ入院給付金・手術給付金・通院給付金を請求しなくても足りるケースがあります。
また、がん診断給付金は、1回限りで保障が終了するわけでは無く、1年または2年経過後と言う条件があるものの、再び入院したことを条件に、何度でも一時金が受け取れる商品も販売されています。
がん診断給付金のデメリット
まず、治療費・入院費・通院費が予定外に増大し、一時金だけではとても足りないケースが想定されます。
そのため、がん診断給付金だけではなく入院給付金や手術給付金の他、最近ではがんの通院治療の傾向が高くなった状況を考慮し、通院給付金の付加も検討しておいた方が良いでしょう。
次に、がん診断給付金で上皮内がん(初期のがん)が保障されない場合もある点に注意は必要です。
上皮内がんは完治の可能性が非常に高いので、保険会社で深刻な状態と認識していない所もあり、適用外とされる場合があります。
一方で、がん診断給付金が悪性がん・上皮内がん共に同額保障とされる商品はありますが、一時金の設定が低額になる等、金額を抑えて設定している場合もあります。
がん診断給付金に手厚い商品を選ぶべき?
何かと頼りになるがん診断給付金ですが、この給付金が充実したがん保険に、FWD富士生命「新がんベスト・ゴールドα」(終身がん保険)があげられます。
「新がんベスト・ゴールドα」の特徴
こちらの基本保障は【悪性新生物診断給付金】のみです。
この基本保障に、【抗がん剤治療給付金】【がん放射線治療給付金】【がん先進医療給付金】等を任意で付加していきます。
基本保障である悪性新生物診断給付金の保障は手厚く、最高300万円まで設定可能です。
初めて悪性新生物(悪性がん)と医師から診断確定された場合の他、2回目以降は前回の支払事由該当日から2年経過後、更に悪性新生物の治療目的とした入院でも同額が受け取れます。
「新がんベスト・ゴールドα」の活用法
こちらでは「新がんベスト・ゴールドα」の活用例を取り上げます。
(例)契約者:30歳男性
- 保険料払込期間:終身払
- 悪性新生物診断給付金:300万円
- 月払保険料:3,756円
がん治療の内容と費用は次の通りです(保険診療適用)。
- がん:胃がん
- 定型手術:10万円
- 入院(特別環境療養室利用)20日:20万円(差額ベッド代1日1万円の場合)
- 抗がん剤治療(再発予防):27.6万円
- 定期検査費1年目(年3回):5.1万円
- 定期検査費2年目(2回):4.5万円
- 合計:67.2万円
①新がんベスト・ゴールドαは月払保険料が3,756円なので年間にかかる保険料は
3,756円×12ヶ月=45,072円
②悪性新生物(悪性がん)と医師から診断確定された場合、悪性新生物診断給付金として300万円が受け取れます。
③前述したがん治療の費用総額は67.2万円となります。
すると
悪性新生物診断給付金300万円-医療費総額67.2万円=232.8万円
かかった医療費より230万円以上もお得に給付金が受け取れます。
当然、医療費にカウントされない交通費や、入院のための備品購入費用も考慮しなければいけませんが、「医療費+α」を賄うのにあまりある保障と言えます。
もちろん余ったお金は生活費に利用することもできますが、通院が長引く場合を考慮し、通院治療の資金として貯金しておくのも良い方法です。
がん保険には『がん入院給付金』も必要!?
保険のドリル読者 しかし、短い期間で再入院が必要となったり、予想外に長期の入院を余儀なくされた場合は、がん診断給付金だけで足りるか不安です。
入院給付金の仕組み
がん診断給付金へ手厚い商品を選ぶべきか?
の2つについて解説します。
松葉 直隆
がんの入院は短期が主流?
がんは深刻な病気であり、がんが進行すれば生命・身体に重大な影響を及ぼします。
では、がんの入院は非常に長期化するのか?といえば、そうとは言えないデータが報告されています。
厚生労働省の報告によれば、悪性新生物(悪性のがん)を治療目的とした入院は平均17.1日となっています(出典:厚生労働省「平成29年(2017)患者調査の概況」)。
各部位の悪性新生物の平均的な入院期間は次の通りです。
各部位 | 平均入院日数 |
胃の悪性新生物 | 19.2日 |
結腸及び直腸の悪性新生物 | 15.7日 |
肝及び肝内胆管の悪性新生物 | 16.9日 |
気管、気管支及び肺の悪性新生物 | 16.3日 |
乳房の悪性新生物 | 11.5日 |
いずれも20日未満で患者が退院していることはおわかりでしょう。
とするならば、がんの長期入院保障はおろか、がん診断給付金を備えていれば入院保障すら不要な気もします。
再入院のリスクも検討を!
しかし、がんの入院が短期化している傾向はあると言えるものの、がんは再発するリスクの高い病気でもあります。
仮に退院しても症状の悪化や、他の臓器にがんが転移し、再入院という事態も十分考慮しなければいけません。
がんで入院治療をする場合、保険診療が適用される病室(大部屋と呼ばれています。)も利用できます。
ただし、どの医療機関でも満室になっている場合が多く、医療機関側から有料病室(特別環境療養室)の利用を勧められるケースがほとんどです。
差額ベッド代がかかるからと入院治療を渋っているようでは、がんはどんどん身体の中で増殖してしまいます。
そのため、何度も再入院することを想定し、入院給付金は設定しておいた方が無難でしょう。
がん入院無制限保障の商品を選ぶべき?
がん保険で入院給付金が設定している場合は、【入院無制限保障】になっている商品がほとんどです。
こちらでは、入院給付金日額を高め(~20,000円まで)に設定できる、アクサダイレクト生命「アクサダイレクトのがん終身」の活用例を取り上げます。
(例)契約者:30歳男性
- 保険料払込期間:終身払
- 入院給付金日額:2万円
- がん診断給付金:200万円
- 月払保険料:3,420円
がん治療の内容と費用は次の通りです(保険診療適用)。
- がん:肺がん
- 放射線化学療法:9万円
- 抗がん剤治療:20万円
- 予防的全脳照射:5.4万円
- 入院(特別環境療養室利用)20日:20万円(差額ベッド代1日1万円の場合)
- 定期検査費1年目(年3回):4.8万円
- 定期検査費2年目(2回):5.7万円
- 合計:64.9万円
①アクサダイレクトのがん終身は月払保険料が3,420円なので年間にかかる保険料は
3,420円×12ヶ月=41,040円
②肺がんと医師から診断確定された場合、次の給付金が受け取れます。
- 入院給付金:日額2万円×20日=40万円
- がん診断給付金:200万円
- 合計:240万円
③前述したがん治療の費用総額は64.9万円となります。
すると
給付金総額240万円-医療費総額64.9万円=175.1万円
かかった医療費より175万円以上もお得に給付金が受け取れます。
余った175万円は退院祝いで旅行する費用や、生活費に充てても構いません。
当然、再入院・通院が必要となった場合の資金として貯金することも良いでしょう。
がん保険と医療保険
保険のドリル読者
この医療保険だけでも、がん治療への備えとして十分ではないのでしょうか?
医療保険でもがん治療サポートが充実
がん保険の存在価値
医療保険・がん保険の併用はありか?
の3つについて解説しましょう。
松葉 直隆
医療保険とがん保険の組み合わせも「ほけんのぜんぶ」で相談(無料)
医療保険でもがん治療サポートが充実!
生命保険会社の扱う医療保険は、病気・ケガの幅広い入院治療費をサポートする商品です。
こちらもがん保険と同様、生命保険会社の主力商品として、ほとんどの各社が競って販売している商品の一つです。
病気、不運なケガで入院したなら入院給付金が、手術をしたなら手術給付金が受け取れます。
また、がん治療に関する保障も特約として設定できる商品が多く、オリックス生命「医療保険 新CURE(キュア)」では、オプションとしてがんに関する一時金(入院給付金日額の最高200倍まで設定可)や、通院まで無制限保障になる【がん通院給付金】が設定されています。
一見するなら、医療保険へ加入していればがんの保障は足りるように感じられます。
がん保険はどんな時に選ぶ?
しかし、がん保険は、がんへ特化した商品だけに、医療保険ではなかなか設定し難い保障内容も揃っています。
医療保険でがんに関する特約・特則で付帯できる保障は基本設定
医療保険で、特則によって設定できるがん入院給付金の無制限保障は、ほとんどのがん保険で基本設定です。
がん診断給付金の場合は、医療保険で特約により付加しなければならず、金額も最高で200万円がやっとですが、がん保険では300万円まで設定できる商品もあります。
また、医療保険では放射線治療は設定されていますが、薬物治療は特約で付加する以外に無く、がん保険では抗がん剤治療をはじめとする薬物治療は基本設定が多く、かつ自由診療(保険診療外の医療行為)まで保障される商品もあります。
がんが怖いなら、がん保険へ加入を!
そのため、医療保険のがんに関する特約だけで備えることへ不安を感じた人は、個別のがん保険を選ぶべきでしょう。
がんは生活習慣病と呼ばれていますが、実はがんになりやすい家系、いわゆる【がんの家系】の存在も指摘されています。
家族や親戚でがんを発症した方々が多く、自分が悪性がんとなったとき手厚い保障を受けたいならば、がん保険へ加入することが賢明な判断と言えます。
併用の検討もアリ!?
がんを発症した場合に、万全の治療サポートを整えるために、がん保険へ加入するのは良い判断ですが、病気はがんだけではありません。
その他の病気の医療サポートも受けたいなら、【医療保険+がん保険】と言う併用も検討しましょう。
こちらでは、長期入院に手厚い楽天生命「医療保険1095α」と、前述したFWD富士生命「新がんベスト・ゴールドα」の併用を検討してみましょう。
楽天生命「医療保険1095α」の特徴
楽天生命「医療保険1095α」は、がん(悪性新生物)、上皮内新生物、心疾患、脳血管疾患による入院は日数無制限で保障される他、それ以外の所定の病気・ケガもそれぞれ1入院・通算1,095日まで保障される終身医療保険です。
シンプルプランを選べば、幅広い病気やケガの入院・通院・手術がサポートされます。
こちらには、特約でがん診断給付金も設定(がんプラン・3大疾病プランでは基本設定)できますが、上限は200万円にとどまります。
がん治療に備えるため「新がんベスト・ゴールドα」を併用
そこで高額な一時金が設定できる、FWD富士生命の「新がんベスト・ゴールドα」にも加入します。
それぞれの保険料例は次のようになります。
(例)契約者:30歳男性
①医療保険1095α(シンプルプラン)
- 入院給付金日額:5,000円
- 手術給付金の型:Ⅰ型
- 通院給付金日額:1,500円
- 先進医療特約:付加
- 3大疾病保険料払込免除特約:付加
月払保険料:3,173円
②新がんベスト・ゴールドα
- 悪性新生物診断給付金:300万円
月払保険料:3,756円
①医療保険1095α(シンプルプラン)+②新がんベスト・ゴールドα=6,929円
毎月7,000円未満で、がん治療の手厚いサポートが実現できます。
活用法としてはがんと診断確定されたら、「新がんベスト・ゴールドα」の悪性新生物診断給付金をすぐさま請求し医療費とします。
その後「医療保険1095α」で、手術費用や入院・通院の費用は、状況を見ながら請求するという方法が考えられます。
なお、「医療保険1095α」には【3大疾病保険料払込免除特約】が付帯されているので、所定のがんに該当したら本商品の保険料は以後、一切払込不要となります。
がん保険には免責期間がある!?
保険のドリル読者
なぜ、わざわざこのような制約を設けているのでしょうか?
そもそも免責期間とは何か?
なぜ必要な制約なのか?
という2つについて解説しましょう。
松葉 直隆
そもそも免責期間とは?
ほぼすべてのがん保険には、加入してから約90日間は【免責期間】という免責条項が存在します。
つまり、保険契約が有効に成立しても『加入後、約90日間は保障が適用されない』ということになります。
保険会社の死亡保険や医療保険にはあまり見られない(もっとも、がんに関する保障があれば、その保障だけに免責期間を適用)、独特の特徴となります。
がん治療保障を受けるためには、免責期間を何事もなく経過して、はじめて保障内容の効力が発生します。
なお、この効力が発生する日を【責任開始日】と呼びます。
もしも契約後、免責期間中にがんと医師から診断され、入院治療が必要となった際、せっかく加入したのに、がん保険の保障(給付金)は一切受け取れないことになります。
免責期間はなぜ必要?
契約者にとってはあまり歓迎されない免責期間、やはり設定するには理由があります。
がんは自覚症状が無いから!?
がんは自覚症状の無いケースが多く、契約者(被保険者)本人が気づいていないこともあります。
『がんが発覚した頃には、がんの進行が深刻な事態にまでなっていた』という場合も数多くあります。
そのため、保険会社としては契約後すぐに保障を適用するのではなく、契約者(被保険者)が、がんに罹患していないかどうか様子をみるために免責期間を設けているのです。
契約者(被保険者)間の公平性のため
また、保険へ加入した方々全体の【公平性】を維持するために必要な措置とも言えます。
がん保険は、多数の契約者(被保険者)が保険料を出し合い、この保険制度を維持しています。
これは、契約者(被保険者)が支払った保険料について、契約者(被保険者)各自の保険料分として、厳然と区分して管理・運営されている制度ではないことを意味します。
つまり、契約者(被保険者)全員分の財源(給付金を支払う際のお金)として、保険料は集められているのです。
もしも、がん保険に入ってすぐにその保障が適用されてしまうのならば、ある契約者(被保険者)が契約して間もない内、がんと診断確定された場合、保険会社から給付金が支払われることになってしまいます。
これでは、健康の維持に努め、がんを発症しないように心がけている人からみれば、やはり不公平と言えます。
そのため、免責期間は契約者(被保険者)間の公平性を維持する措置と言えるのです。
免責期間の無い商品を選ぶべき?
がん保険へ加入したい方々にとっては、保険契約が有効に成立したなら、がん治療保障は免責期間に関係なく受けたいサービスです。
がん保険の中には、この免責期間がない商品もわずかに存在します。
しかし、免責期間がなく給付金を受け取れないリスクは減る分、保障内容に制約が存在します。
免責期間がないがん保険の大きな特徴としては、【がん診断給付金】が用意されていないという点です。
この保障が無ければ、治療を開始する早い段階でまとまった一時金を請求することができません。
そのため、免責期間がないがん保険へ加入する際は、慎重に保障内容を検討して、申し込むかどうかを決めましょう。
がんという病気について知ろう!
保険のドリル読者
それでは、【がん】という病気はそもそもどんな病気なのかおさらいしたいです。
松葉 直隆
日本人の死因第1位を独走!
厚生労働省の報告では、毎年、日本人の死因の第1位となっているのが悪性新生物(悪性のがん)になっています。
その割合は全体27.4%を占めます。
実に3割近くの日本人が、悪性新生物(悪性のがん)で亡くなっています(出典:厚生労働省「平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)の概況」)。
死因順位 | 死亡数 | 割合 |
1位:悪性新生物 | 373,547人 | 27.4% |
2位:心疾患 | 208,210人 | 15.3% |
3位:老衰 | 109,606人 | 8.0% |
4位:脳血管疾患 | 108,166人 | 7.9% |
その他 | 562,953人 | 41.4% |
総数 | 1,362,482人 | 100.0% |
2位の心疾患を大きく引き離す、死亡数・割合の多さとなっています。
なお、悪性新生物・心疾患・脳血管疾患は、その死亡割合の高さから【三大疾病】と言われています。
そもそもどんな病気なのか?
がんとは、人体を構成する細胞が何らかの異常で変異し、変異した細胞が正常な組織を次々と破壊しつつ増殖する病気です。
がんは、どれくらい進行しているのかを表す度合いである「ステージ」で、概ね「0、I、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ」に区分されます。
各症状は下表を参考にしてください。
ステージ | 症状 |
ステージ0 |
いわゆる上皮内新生物と呼ばれ、がんが身体や臓器の表面等に止まり、筋肉の層を浸食しておらず間質細胞に広がっていない状態。 この段階でがんを取り除けば転移・再発の危険性はほぼゼロ。 |
ステージI |
このステージ以降から悪性新生物と呼ばれる。 腫瘍が広がっているものの、筋肉の層にとどまっている状態。 完治も可能。 |
ステージⅡ |
腫瘍が筋肉の層を超えて広がっている状態。 リンパ節に少し転移している状態も該当。 |
ステージⅢ |
腫瘍が筋肉の層を超えて深く広がっている状態。 この状態になるとリンパ節への転移が見られる。 |
ステージⅣ |
非常に深刻な状態。 がん細胞が臓器の壁を超え、血管に広がり、他の臓器へ転位するほどに進行。 完治を目指すというよりは延命治療に専念。 |
なるべく「ステージI」の状態で、がんを発見し手厚い治療を受けることが望まれます。
がんは誰でも発症し得る!!
がんを発症する明確な原因は残念ながらわかっていません。
その原因として、タバコの吸い過ぎ、暴飲・暴食、肥満、仕事や家庭でのストレス、生活の不摂生が考えれます。
また前述したように、がんを発症しやすい【がんの家系】も存在する等、生活習慣に十分気を付けても、発症し得るリスクはあります。
つまり、がんは我々誰しもが、発症する可能性のある深刻な病気として認識するべきでしょう。
当然、がんを発症し難い人、発症し易い人は存在しますが、なるべく規則正しい生活を送り、不運にもがんを発症した場合の備えを設けておくべきです。
まとめ
がん保険はがんに特化した商品で、医療保険のように幅広い病気やケガへ対応できる商品とは言えません。
しかし、がんに関しては、医療保険以上に細かな保障、手厚い保障金額が設定できます。
また、がん保険にもいくつかの種類と特徴が有ることから、保険選びに迷われることもあるでしょう。
そんな時は、保険の専門家に相談をするのも良いでしょう。
自分がどんな不安があり、どう言った備えをしたいのかをハッキリと伝えることで、保険選びの良いヒントもくれることでしょう。
あらゆる手段をしっかりと活用して、後悔の無い保険選びをするようにしましょう。