がん経験者だった場合や、がんを現在発症している方々は、保険会社の医療サポートを受けられないのでしょうか?
実はこのような方々であっても、民間の医療サポートを受けられる可能性は残されています。
公的医療保険の給付だけで不安を感じる方々ならば、がん経験者でも入れるがん保険や、がんを現在発症しても入れる保険商品で保障を充実させたいものです。
今回は、がんでも(がん経験者でも)入れる、がん保険・医療保険を紹介し、その注目点や注意点を解説します。
- がんを罹患しても加入できる3商品の紹介
- それぞれの特徴とメリット・デメリットの紹介
- 引受緩和型と無選択型の特徴とメリット・デメリットの紹介
- 保険の新規加入や見直しを検討するなら、相談員の約97%が国家資格であるFPの資格を所持している「ほけんのぜんぶ」で無料で相談することをおすすめします。
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目次
【がん】でも入れる保険はある!?
保険のドリル読者
このような私は、もはや「がん保険」には入れないのでしょうか?
松葉 直隆
公的医療保険だけのサポートでは足りない?
がん治療は公的医療保険の給付対象となり、手術療法・放射線療法・化学(薬物)療法のほとんどが保険診療に該当します。
公的医療保険は現物給付(医師の検査、治療、投薬等)となり、原則3割を患者側が自己負担をします。
3割自己負担分が多額になっても【高額療養費制度】を活用すれば、自己負担限度額を超えて医療機関に払ったお金が戻ってきます。
しかし、有料病室(特別環境療養室)を利用した際に請求される【差額ベッド代】や、最先端の医療技術である【先進医療を受けた際の技術料】は、全額自己負担となります。
この様に保険診療の対象外となる医療サービスも存在します。
全額自己負担となる医療費は多額の負担となるおそれがあり、金銭的サポートの期待できる備えを検討したいものです。
がんを経験したらがん保険へ入れない!?
がん治療の金銭的サポートを受けたいならば、保険会社の販売する【がん保険】や【医療保険】への加入を検討することでしょう。
ただし、これらの保険は誰でも入れるわけでは無く、申込の際は告知内容に該当しないことが加入する条件となります。
がんに関しては、がん保険でも、医療保険でも、概ね次のような告知項目が記載されています。
- 現在、がんまたは上皮内新生物、慢性肝炎、肝硬変で医師の診察・検査・治療・投薬をうけていますか?
- これまで、がんまたは上皮内新生物を発症したことがありますか?
こちらの質問に【はい】と回答すれば、保険会社から引き受けを拒否される可能性が非常に高くなります。
がんは深刻な病気なので、保険会社は保険事故(給付金請求等)をおそれ、ほとんどの場合、過去または現在、がんを発症した方々の加入を厳しく制限しています。
しかし保険会社の中には、わずかにがん経験者でも加入できるがん保険を販売している所があります。
がん経験者でも入れるがん保険は次の通り!
がん経験者で加入できるがん保険(医療保険)は次の通りです。
内容 | 「メディコムワン」 | 「寄りそうDays」 | 「フレキシィ ゴールド S」 |
保険会社 | セコム損保 | アフラック生命 | メットライフ生命 |
保険種類 | 定期がん保険 | 終身がん保険 | 終身医療保険 |
契約年齢 | 女性のみ満20歳~満65歳 | 満20歳~満85歳 | 満20歳~満85歳 |
特徴 | 乳がん経験者対象 | がん経験者対象 | がん診断給付金も設定可能 |
がん経験者の入れる保険でも、アフラック生命「生きるためのがん保険 寄りそうDays」や、メットライフ生命「終身医療保険 フレキシィ ゴールド S」は、被保険者が一生涯保障される商品となっています。
また、この2つの保険商品は満85歳まで加入が可能で、保障範囲も幅広く設定されています。
次章以降では、この3商品の保険内容とその注目点・注意点について解説していきましょう。
セコム損害保険「自由診療保険 メディコムワン」
保険のドリル読者
乳がん経験者でも加入できるがん保険があれば教えて下さい。
松葉 直隆
乳がん経験者のための「がん保険」
セコム損害保険の「自由診療保険 メディコムワン」は、乳がん経験者が加入できる定期がん保険です。
こちらの保険では、がんの入院・通院が無制限でサポートされます。
ただし、次の条件に全て該当することが必要です。
- 加入される人が女性であること
- 加入年齢が満20歳~満65歳であること
- はじめてかかったがんが乳がんであること
- 乳がんの再発・転移や乳がん以外のがんにかかっていないこと
- 現在、がんの所見なしであること
- 乳がんのステージと、その手術日からの所定の経過期間を超えていること(※)
- 現在、入院中でないこと
- 所定の「診断書」を医療機関から取り寄せされること
(※)なお、「6」の乳がんステージ毎の手術日から、所定の経過期間にあてはまる期間は下表の通りです。
ステージ | 経過期間 |
ステージ0 | 6ヶ月超 |
ステージⅠ | 1年超 |
ステージⅡ | 3年超 |
ステージⅢ | 6年超 |
ステージⅣ | 6年超 |
契約内容は次の通りです。
- 契約年齢:満20歳~満65歳
- 保険料払込期間:5年(90歳まで自動更新)
- 保険料払込回数:月払のみ
- 保険料決済方法:口座振替
「自由診療保険 メディコムワン」の内容を紹介!
こちらでは「自由診療保険 メディコムワン」の保険内容と月払保険料例について説明します。
「自由診療保険 メディコムワン」の補償内容
通院および入院治療がサポートされます。
なお、保険金の支払責任は、保険期間の初日からその日を含めて91日目に開始されます。
(1)ガン外来保険金
医師から悪性新生物や上皮内新生物と診断確定され、治療目的で通院したとき、契約が更新される5年ごとに最大1,000万円が実額補償されます。
なお、保険会社所定の自由診療・先進医療の治療費もサポートされます。
サポート対象外となるのは、往診による治療や交通費・宿泊費等、直接治療に関係しない諸雑費です。
(2)ガン入院保険金
医師から悪性新生物や上皮内新生物と診断確定され、治療目的で入院したとき、入院費が無制限で実額補償されます。
ただしサポート範囲は主に保険診療となる病室(いわゆる大部屋)に限定されます。
入院の際に受けた保険会社所定の自由診療・先進医療の治療費もサポートされます。
サポート対象外となるのは、差額ベッド代、貸テレビ代・新聞代・特別メニューの食事代等、直接治療に関係しない諸雑費です。
「自由診療保険 メディコムワン」の月払保険料
月払保険料の算定方法は他商品と異なり非常に独特です。
乳がんのステージ毎の月額基準保険料例は次の通りです。
(例)30歳女性が保険契約した場合
①乳がんのステージ0
乳がんの手術日からの経過期間 | 月払保険料 |
10ヶ月 | 5,280円 |
1年6ヶ月 | 5,280円 |
3年6ヶ月 | 5,280円 |
5年6ヶ月 | 5,060円 |
②乳がんのステージⅠ
乳がんの手術日からの経過期間 | 月払保険料 |
1年6ヶ月 | 9,180円 |
3年6ヶ月 | 8,960円 |
5年6ヶ月 | 7,590円 |
7年6ヶ月 | 5,060円 |
③乳がんのステージⅡ
乳がんの手術日からの経過期間 | 月払保険料 |
3年6ヶ月 | 13,180円 |
5年6ヶ月 | 10,780円 |
7年6ヶ月 | 8,070円 |
④乳がんのステージⅢ
乳がんの手術日からの経過期間 | 月払保険料 |
6年6ヶ月 | 10,530円 |
8年6ヶ月 | 10,160円 |
9年6ヶ月 | 9,830円 |
⑤乳がんのステージⅣ
乳がんの手術日からの経過期間 | 月払保険料 |
6年6ヶ月 | 10,530円 |
8年6ヶ月 | 10,160円 |
9年6ヶ月 | 9,830円 |
契約年齢がたとえ同じでも、乳がんのステージそして経過期間で保険料は異なってきます。
「自由診療保険 メディコムワン」の注目点と注意点!
こちらでは「自由診療保険 メディコムワン」で注目すべき点と、加入前に注意するべき点について解説します。
「自由診療保険 メディコムワン」の注目点
「自由診療保険 メディコムワン」は【自由診療】の治療サポートを受けられる点が便利です。
自由診療とは、公的医療保険適用外の医療サービスが該当します。
対象となる自由診療の治療は主に次の通りです。
- 未承認抗がん剤:公的医療保険で承認されていない抗がん剤
- 適応外抗がん剤:抗がん剤自体は薬剤として承認されているが、公的医療保険適用外の部位等へ使用する抗がん剤
- 薬剤の適用外投与、適用外の検査:薬剤の投与方法または検査の範囲から外れた投与方法・検査
通常のがん保険や医療保険でもほとんどの商品は、自由診療が保障対象外なります。
「自由診療保険 メディコムワン」は、その分、自由診療を受けたい方々にとって心強い商品と言えます。
「自由診療保険 メディコムワン」の注意点
ただし、対象となる自由診療なら、どんな医療機関で受けてもサポートされるわけではありません。
自由診療を受け保険金が支払われる条件は次の通りです。
- 自由診療を受けた医療機関が、協定病院、または、がん診療連携拠点病院や大学附属病院等
- 診療契約に公的医療保険制度の給付対象とならないがんの診療が含まれている
上記に合致しないと保険金が受け取れないので注意しましょう。
特に「1」の治療を受けたい医療機関が対象機関となっているかを事前に必ずチェックしておきましょう。
なお、不明な点があったならば、セコム損害保険のカスタマーセンターに問い合わせ確認した方が無難です。
アフラック生命「生きるためのがん保険 寄りそうDays」
保険のドリル読者
その様な「がん保険」は有るのでしょうか?
松葉 直隆
がん経験者のための「がん保険」
アフラック生命の「生きるためのがん保険 寄りそうDays」は、がん経験者のための終身がん保険です。
一度加入すれば、保険料は変わらず一生涯の保障が約束されます。
この商品では入院・通院治療が無制限保障となります。
【がん(悪性新生物)】の治療を受けた最後の日から5年以上経過し、質問項目(告知項目)がすべて【いいえ】の場合に申し込みが可能です。
契約内容は次の通りです。
- 契約年齢:満20歳~満85歳
- 保険・保険料払込期間:終身
- 保険料払込回数:月払・半年払・年払
- 保険料決済方法:振込・口座振替・クレジットカード
「生きるためのがん保険 寄りそうDays」の保障内容の紹介!
こちらでは、「生きるためのがん保険 寄りそうDays」の保障内容と月払保険料例について説明します。
「生きるためのがん保険 寄りそうDays」の保障内容
次の通院および入院治療等が保障されます。
なお、申込および告知両方が完了した日から3カ月を経過した日の翌日に保障は開始されます。
(1)入院給付金(主契約)
がん(上皮内新生物も含む)で入院した場合、1日目から日数無制限で保障されます。
日額5,000円(入院給付金日額5,000円コース)、日額10,000円(入院給付金日額10,000円コース)が設定されています。
(2)通院給付金(主契約)
がん(上皮内新生物も含む)で通院した場合、三大治療のための通院は日数無制限、退院日の翌日から365日以内の通院なら日数無制限で保障されます。
なお、日額は入院給付金日額と同額になります。
(3)手術給付金(主契約)
がん(上皮内新生物も含む)で所定の手術をした場合、入院給付金日額5,000円コースなら1回10万円、入院給付金日額10,000円コースなら1回20万円が何回でも受け取れます。
(4)放射線治療給付金(主契約)
がん(上皮内新生物も含む)で所定の放射線治療を行った場合、入院給付金日額5,000円コースなら1回10万円、入院給付金日額10,000円コースなら1回20万円が60日1回を限度に何回でも受け取れます。
(5)抗がん剤治療給付金(特約)
任意で抗がん剤治療のサポートを受けたい場合、本特約が付加できます。
特約給付金額2.5万円の場合は、乳がん・前立腺がんのホルモン療法が2.5万円、それ以外は5万円が月毎に給付されます(通算300万円が上限)。
なお、上皮内新生物は保障対象外とされます。
(6)先進医療特約
がんに関する所定の先進医療を受けた場合、次の給付金が受け取れます。
- がん先進医療給付金:通算2,000万円まで保障上限。
- がん先進医療一時金:1年間に1回で15万円が受け取れる。
「生きるためのがん保険 寄りそうDays」の保険料
保険料例は次の通りです。
(例)入院給付金日額5,000円コースの場合
- 保険料払込方法:月払
- 保障:主契約のみ
契約年齢 | 男性 | 女性 |
30歳 | 2,465円 | 2,240円 |
40歳 | 2,760円 | 2,500円 |
50歳 | 3,300円 | 2,710円 |
60歳 | 4,020円 | 3,085円 |
がん経験者を対象とする商品ですが、50代までなら2,000円台~3,000円台と月払保険料はリーズナブルです。
「生きるためのがん保険 寄りそうDays」の注目点と注意点!
「生きるためのがん保険 寄りそうDays」は、保険料が抑えられていますが、入院・通院治療が無制限保障となったり、手術治療、放射線治療等の一通りの保障が設定されているので安心です。
入院給付金では差額ベッド代が、通院給付金では交通費も賄われ、長期治療に適した保障内容と言えます。
ただし、通常のがん保険で設定されている【がん診断給付金】は、残念ながら「生きるためのがん保険 寄りそうDays」で保障されません。
がん診断給付金は、医師からがんと診断確定された時に受け取れる一時金です。
この給付金があれば治療を開始する早い段階で、まとまったお金を請求できるメリットがあります。
がん経験者を加入対象とする商品なので、やはりある程度の保障の制約が存在するのです。
メットライフ生命「終身医療保険 フレキシィ ゴールド S」
保険のドリル読者
入りやすい保険商品でも【がん診断給付金】があるなら、とても助かりますね。
松葉 直隆
医療保険だが【がん診断給付金】を設定可!?
メットライフ生命の「終身医療保険 フレキシィ ゴールド S」は、終身医療保険ですが、質問項目(告知項目)が少なく【終身ガン診断給付特約(ガン一時金)】も設定できる引受基準緩和型商品です。
質問項目の内容は次の通りです。
- 最近3ヵ月以内で受けた医師による検査、検診または診察の際、入院または手術、ガン(悪性新生物または上皮内新生物)の疑いで再検査・精密検査をすすめられたか?
- 過去1年以内に、病気やケガで入院・手術を受けたか?
- 過去5年以内に、①ガン(悪性新生物または上皮内新生物)、②肝硬変、③統合失調症、アルコール依存症、認知症病気と新たに診断され(再発や転移を含む)、あるいはこれらの病気で入院や手術を受けたことがあるか?
- (終身ガン診断給付特約を付加する場合)過去2年以内に、医師による検査、検診または診察を受け、腫瘍、ガン(悪性新生物および上皮内新生物)、ポリープ、腫瘤、胸のしこり、子宮頚部異形成の異常を指摘されたか?
この4項目を全て【いいえ】で回答すれば、『主契約+終身ガン診断給付特約』の申込が可能となります。
契約内容は次の通りです。
- 契約年齢:満20歳~満85歳
- 保険料払込期間:終身
- 保険料払込回数:月払・半年払・年払
- 保険料決済方法:口座振替・クレジットカード
「終身医療保険 フレキシィ ゴールド S」の保障内容の紹介!
「終身医療保険 フレキシィ ゴールド S」の保障内容と保険料例は次の通りです。
「終身医療保険 フレキシィ ゴールド S」の保障内容
給付金の削減期間はなく、短期入院がしっかりサポートされる内容となっています。
(1)疾病・災害入院給付金
日帰り入院~10日以内の入院は一律10日分が受け取れます(短期入院定額払特則)。
11日以上の入院は給付日額3,000円、5,000円、10,000円(プランにより異なる)が選べ、病気・ケガそれぞれ1入院60日上限、通算1,095日まで保障上限です。
(2)手術給付金
手術を受けた場合、1回につき
- 入院手術・放射線治療:入院給付金日額×10倍
- 外来手術:入院給付金日額×2.5倍
の給付額を受け取れます。
いずれも回数無制限で保障されます。
一方、骨髄ドナー(提供者)として所定の採取手術を受けた場合、1回のみ入院給付金日額×5倍の給付額が受け取れます。
(3)終身ガン診断給付特約(ガン一時金)
契約後90日間の保障されない期間があるものの、悪性新生物・上皮内新生物それぞれ、2年に1回を限度として何回でも一時金が受け取れます。
なお、初回は医師から初めてがんと診断確定された時、2回目以降は入院が条件です。
金額は30万円~100万円が設定できます。
(4)その他
任意で【先進医療特約】【三疾病入院延長給付金特約】【認知症一時金特約】等が付加できます。
「終身医療保険 フレキシィ ゴールド S」保険料例
「終身医療保険 フレキシィ ゴールド S」の保険料例は次の通りです。
(例)30歳男性が保険契約した場合
- 契約プラン:充実プラン
- 入院給付金:日額10,000円
- 手術給付金:入院手術10万円、外来手術:5万円
- 短期入院定額払特則:付加
- 終身ガン診断給付特約(ガン一時金):100万円
月払保険料:8,685円
「終身医療保険 フレキシィ ゴールド S」の注目点と注意点!
終身ガン診断給付特約が100万円まで設定できるので、まとまった一時金が受け取れます。
当然、医師から診断された段階で請求でき、その分早めに給付を受けられる点が魅力です。
しかし、皆さんの中には『以前がんで治療していても加入できる商品ではあるが、終身ガン診断給付特約は初めてがんと診断確定された場合が条件なので、がん経験者はそもそも保障対象外なのでは?』と、疑問に思う人もいるはずです。
メットライフ生命では、かつてがんを経験した人でも、終身ガン診断給付特約保険期間の始期に属する日で、5年前の年単位応当日の翌日から、この特約のガン診断給付金責任開始日の前日までにがんと診断確定されていないときは、初めて診断確定されたものとみなす、としています。
つまり5年間、何事も無く経過すれば、終身ガン診断給付特約を付加して保険契約ができることになります。
がんでも入れる保険の注意点を紹介!
保険のドリル読者
しかし、がんを現在発症中の方々が加入出来る保険商品ってあるのでしょうか?
松葉 直隆
がんを発症中に加入できるがん保険は無い?
これまでがんに関する保障が設定されている商品をみてきた通り、告知項目の内容は『〇年以内にがんの手術・治療・投薬等を行った』または『医師から勧められたか?』が問われています。
この【〇年以内】には当然、がんを現在発症中のケースも含まれます。
残念ながら、がんを現在発症中の方々はどんながん保険にも入れないのが現状です。
ただし、がん保険以外の医療保険や死亡保険では、たとえ現在がんを発症中であっても申込可能な商品があります。
次項では、まずがんを発症中でも入れる医療保険について解説しましょう。
がんを発症中でも入れる医療保険がある!
がんを現在発症している状態では、がん保険のサポートは不可能ですが、医療保険では入院・手術サポートを受けられる商品もあります。
この商品は【無選択型医療保険】と呼ばれています。
この無選択型医療保険は告知不要ですが、商品はごく少数となります。
無選択型医療保険の例として、チャブ保険(Chubb)「まかせて安心医療保険」を取り上げましょう。
こちらは告知が不要なので、がんを発症中でも入れる医療保険となります。
そのため、満16歳~満70歳までの方々なら誰でも加入できます。
サポート内容は、【疾病・災害入院保険金】が1日目からサポートされ、日額は3,000円~10,000円で設定できます。
病気・ケガそれぞれ1入院60日上限、通算120日まで保障されます。
また、手術保険金は手術を受けた場合に給付され、給付額1回で入院保険金日額×10倍・20倍・40倍のお金が受け取れます。
この「まかせて安心医療保険」は定期医療保険であり、5年ごとに最長75歳まで自動更新されます。
がんを発症中でも入れる死亡保険がある!
死亡保険でも無選択型の商品はありますが、この死亡保険の中には、がん治療中の人やがん経験者のみが加入できる珍しい商品もあります。
こちらでは、富士少額短期保険株式会社「がんになっても入れる保険」について説明しましょう。
こちらは満30歳~満80歳10ヶ月までの、がん治療中の人やがん経験者のみが加入できる死亡保険です。
満107歳まで更新できます。
申し込みが可能なのは19部位のがんであり、どんながんで亡くなったかで死亡保険金額も異なります。
性別に分けてがんの対象部位、保険金額の上限をみてみましょう。
①男性
がんの部位 | 保険金額の上限 |
甲状腺、皮膚、結腸、直腸、胃 | 200万円 |
腎尿路、膀胱、喉頭、口腔・咽頭 | 150万円 |
肺、食道、前立腺、胆嚢・胆管 | 100万円 |
肝臓、すい臓 | 80万円 |
②女性
がんの部位 | 保険金額の上限 |
甲状腺、皮膚、結腸、直腸、胃、子宮体部 | 200万円 |
腎尿路、膀胱、喉頭、口腔・咽頭、子宮頸部、卵巣 | 150万円 |
乳房、食道、胆嚢・胆管 | 100万円 |
肝臓、すい臓 | 80万円 |
もしもの事態に備えるため、死亡保障を検討するのも賢明な判断と言えます。
引受基準緩和型と無選択型のメリット・デメリット
保険のドリル読者
そこで、引受基準緩和型商品・無選択型商品の特徴について教えて下さい。
松葉 直隆
引受基準緩和型商品は告知内容が少ない!
引受緩和型商品の告知項目は3~4項目程度の商品が多く、この質問事項に該当しなければ、保険契約は問題なく締結出来る可能性は高いです。
ただし、引き受けが緩和されているとはいても、がんをはじめ深刻な病気で闘病中の場合や、医師から検査や入院等を勧められているならば、やはり保険加入は困難と言えます。
引受緩和型商品の終身がん保険、終身医療保険は各保険会社から豊富に販売されています。
ご自分のニーズに合った商品選びも出来ることでしょう。
とはいえ、保障内容が充実していても、契約日から1年以内を【支払削減期間】として設定している商品があります。
支払削減期間とは、契約日から1年を経過しなければ、給付金を請求しても50%の保障額に縮減されるという制約です。
この様な制約が設定されていない商品を選ぶか、制約がある商品を選んでも問題ないか、よく検討して商品を選びましょう。
無選択型商品は告知すら必要無い!?
無選択型は告知不要で誰でも加入できる保険商品です。
そのため、契約者側には手続きがとても楽な商品と言えることでしょう。
ただし、終身タイプの無選択型商品は無く、数年おきに契約更新をしなければならない仕組みとなっています。
保険料は割高で通常の保険商品の2倍以上となる場合もあります。
また、保障に関しても特約が付加できない場合は多く、契約者が自由にカスタマイズするという仕組みとなっていません。
そのため、健康に自信が無いからと言って、いきなり無選択型商品を選ぶことは避けた方が良いでしょう。
健康に自信が無くても通常の保険へ申し込みを!
がん経験者であるならば、がん経験者を対象とする保険商品を選ぶべきです。
しかし、多少健康に不安がある人なら、まず通常の医療保険へ申し込みをしてみしょう。
加入審査は各保険会社によって基準が異なるので、問題なく引き受けされ保険契約が成立することも十分あり得ます。
また、保険会社の中には【条件付き引き受け】を提案してくるケースもあります。
この提案はほとんどの場合【部位不担保】を勧める内容となります。
この部位不担保は、女性で帝王切開を経験した人が申し込みしたならば、帝王切開による異常分娩を保障外したり、帝王切開に関する部位(子宮等)の疾病を対象から外したりすることを、加入の条件として提示される場合があります。
ご自分が提示された条件を容認するなら、保険契約が有効に成立しますが、同条件を拒否すれば契約は不成立となります。
そのため、保険会社側から条件の提案をされても、納得できない場合は見送った方が良いでしょう。
このように保険会社から引き受けを拒否されたり、条件付き引き受けをご自分が拒否したりした後、引受緩和型商品を選び、その加入も難しいなら無選択型商品を選ぶ、というような流れで商品を決めていった方が良いでしょう。
まとめ
がんの経験のある方々は、がんを発症したことの無い方々よりも、その深刻な状況は十分認知されていることでしょう。
がんの経験のある方々なら、なおさら公的医療保険の他にがん保険・医療保険へ加入し、再び起こり得る深刻な事態に備えることが大切です。
しかし、がんの経験のある方が加入できる保険商品は限られてきますので、加入できそうな商品があれば、商品の特徴やメリット・デメリットをしっかりと理解して申し込むようにしましょう。
また、告知事項もしっかりと真実を告知するようにしないと、もしものときに『告知義務違反』となることもあります。
保障が欲しいばかりに、虚偽の告知をしないようにも心がけましょう。