日本人全体の死因の常にトップとなるのが【がん】であり、どなたでも発症するおそれのある厄介な病気です。
がんを発症したとき、その治療費のサポートを一生涯受けられる保険商品が【終身がん保険】です。
終身がん保険は各生命保険会社の主力商品であり、各社競って販売している事から数多くの商品があります。
そこで今回は、終身がん保険の特徴とメリット・デメリットだけでなく、がん保険の仕組みや有用性から、保険選びの際の注意点までも併せて解説をします。
- 終身がん保険の役割や仕組みと言う基本
- 終身がん保険と定期や貯蓄型との違い
- 終身がん保険を選ぶ際の注意点
- 保険の新規加入や見直しを検討するなら、相談員の約97%が国家資格であるFPの資格を所持している「ほけんのぜんぶ」で無料で相談することをおすすめします。
\1分で完了/
目次
終身がん保険の役割ってなに?
保険のドリル読者
そこで、生命保険会社の扱う【がん保険】は有効な備えと言えるのでしょうか?
がん治療の多くは保険診療となり得ること
がん保険はがん治療をサポートする役割があること
そして終身がん保険とは何か
の3つについて解説します。
松葉 直隆
がん治療は保険診療に該当する!?
がんを発症した場合は、患者の健康状態やがんの進行具合、がんの発症部位によって【手術治療】【放射線治療】【薬物治療】を選択、または併用することになります。
いずれの治療も、保険診療の範囲に該当する場合が多く、現物給付(検査、治療、投薬等)が提供されます。
原則3割は自己負担となりますが、自己負担分が高額になっても【高額療養費制度】を利用することで、自己負担限度額を超えた分の医療費は戻ってきます。
ただし、保険診療・高額療養費制度が適用されない医療サービスもあります。
主な適用外の医療サービスとして、差額ベッド代(特別環境療養室の利用料)、先進医療(まだ保険適用されない最先端の医療技術)があります。
これらの医療サービスを利用すれば全額自己負担となってしまい、患者側に重い負担となってしまう場合があります。
がん治療に関する医療費負担を軽減する商品が【がん保険】なのです。
がん保険は現金給付で治療をサポート!
がん保険は保険診療の現物給付と異なり、がんで入院をすれば【入院給付金】が、手術をすれば【手術給付金】が受け取れます。
つまり、これらの入院や治療で医療費が発生した場合、あらかじめ契約で設定した給付金(お金)が受け取れるわけです。
そのため、給付金を高めに設定しておけば、実際にかかった医療費より多くのお金を受け取ることもできます。
ただし、先進医療を受けた場合の費用に関しては、技術料分(つまり実費)が受け取れる形となります。
がん保険には、保障が一生涯約束された【終身がん保険】と、一定期間が保障対象となる【定期がん保険】があります。
保険期間こそ違いがあるものの、がん治療のサポート内容はほとんど変わりません。
終身がん保険とは?
終身がん保険は前述したように、一度有効に契約が成立すれば、契約者(被保険者)が中途解約するか亡くならない限り、一生涯の保障が約束された保険商品です。
また、保険料も契約当時から一切変わらないので、契約年齢が若いほど払い込む保険料は割安になります。
終身がん保険の場合は、入院給付金が無制限保障となる商品がほとんどです。
つまり、給付金の1入院および通算支払限度日数は設けられていないことになります。
そのため、一生涯にわたり再入院を繰り返しても、入院給付金は変わらず受け取れることになります。
次章以降では、終身がん保険の保険料払込期間、終身がん保険のタイプ、終身がん保険の長所・短所等についてわかりやすく解説していきます。
終身がん保険の仕組みを解説!
保険のドリル読者
しかし保険料は一生払い続けるのでしょうか?
松葉 直隆
終身払は圧倒的にお得?
保険料払込期間には、【終身払】と【短期払】があり、保険契約時どちらかを選ぶことになります。
終身払とは、保険期間が終了するまで保険料を払い込む仕組みとなり、かなり長期間に亘って保険料を払い込むことになるので、払い込む1回分の保険料は安くなります。
ただし、加入した終身がん保険をそのまま放置していると、払い込んだ保険料総額が膨大な金額になり、後述する短期払で支払った場合より多くの出費となることがあります。
終身払は加入した終身がん保険を将来見直す余地がある場合に、設定した方が良いでしょう。
なお、終身がん保険の中には、この終身払しか保険料払込期間を設定できない商品もあるので注意しましょう。
短期払なら保険料1回で払い込む負担は大きいが
一方、短期払は保険料払込期間が限定されている仕組みとなっています。
この短期払には【歳満了(歳払済)】と【年満了(年払済)】があります。
歳満了(歳払済)は、一定の年齢、例えば50歳、55歳、60歳、65歳と保険会社が提示した年齢を選び、その年齢まで保険料を払い込めば、以後は保険料負担0円で、保障が一生涯続くことになります。
年満了(年払済)は、一定の期間、例えば10年、15年、20年、25年と保険会社が提示した期間を選び、その期間まで保険料を払い込めば、以後は保険料負担0円で、保障が一生涯続くことになります。
歳満了(歳払済)も、年満了(年払済)も、払込が終了する年齢または期間が決まっているので、払い込む1回分の保険料は高くなります。
終身払と比較すれば、払い込む1回分の保険料が2倍以上となるケースもあります。
しかし、加入した終身がん保険を一生涯利用したいならば、保険料の払込が終了した後、保険料負担も無く保障を受けられるので、お得な仕組みと言えます。
長期的に加入するならば、結果的に終身払で保険料を払い込むよりも保険料総額が安く済むことが多いです。
終身払はこう活用する!
終身払は一見、加入商品を長期間継続するならば、短期よりも不利となる場合があります。
しかし、【保険料払込免除】という特則を保険契約時に設定していれば、所定の条件に該当することで、以後の保険料が免除されることもあります。
つまり、支払1回分の保険料負担が比較的軽減された終身払ならば、途中まで安い保険料を払い込み、保険料払込免除が適用されれば、以後は保険料を払わずに保障が一生涯継続できる場合もあるのです。
その場合、短期払より結果的に保険料は軽減されたこととなります。
保険料払込免除の条件とは?
この所定の条件は、各終身がん保険によって様々です。一例をあげましょう。
(1)がんを発症した場合
保険会社が定めた悪性のがん(悪性新生物)になった場合はもちろん、初期のがん(上皮内新生物)になった場合も保険料は免除される商品があります。
(2)障害状態となった場合
保険会社が定めた所定の高度障害状態になった場合はもちろん、高度障害状態ほどでは無いものの、身体障害の状態になった場合、保険料が免除される商品があります。
つまり、終身がん保険であっても、一律にがんを発症した場合だけ保険料払込免除が適用されるわけでは無いのです。
注意点
ただし、前述した通り保険料払込免除が適用されるには、被保険者が深刻な事態になることが条件とされます。
いくら保険料が免除されるからといえ、がん発症や高度障害状態等になること自体【大きな損】です。
そのため、保険へ加入してからもご自分の健康に配慮し、病気やケガに細心の注意を払うことが大切です。
終身がん保険の掛け捨て型と貯蓄型の違いは?
保険のドリル読者
払い込んだ保険料が戻ってくる商品は販売されているのでしょうか?
松葉 直隆
掛け捨て型が圧倒的に多い!?
終身がん保険は、そのほとんどの商品が【掛け捨て型】となります。
この掛け捨て型とは、払い込んだ保険料が戻ってこない仕組みのことです。
掛け捨て型の特徴
保険料が戻らない分、保険会社は終身がん保険の保障内容を充実させ保険料を安く設定することができます。
ただし、被保険者が終身がん保険を利用しないまま、中途解約したり、亡くなってしまったりすることがあります。
当然保険契約が終了したならば、長年コツコツ保険料を払い込みつづけても1円も戻らないことになります。
死亡保険金(死亡給付金)である程度戻るが
一方、終身がん保険の中には残念ながら被保険者が、がんで亡くなってしまった場合を想定し、【死亡保険金(死亡給付金)】を設けている商品があります。
この死亡保険金(死亡給付金)は、受取人(被保険者の遺族)に支払われることとなります。
払い込んだ保険料の一部が被保険者の遺族へ戻る形になるとも言えるでしょう。
ただし、死亡保険金(死亡給付金)は、【入院給付金日額の〇〇倍】という金額で設定されている場合が多く、払い込んできた保険料全額には遠く及びません。
貯蓄型の商品数は非常に僅か!
払い込む保険料がもったいなくて、終身がん保険へ申し込むことに躊躇している方々もおられることでしょう。
そんな方々に最適の終身がん保険が販売されています。
それが【貯蓄型】と呼ばれる商品ですが、その商品数は掛け捨て型より少なく、販売している保険会社も非常に限られています。
貯蓄型の特徴
終身がん保険の貯蓄型は、被保険者が一定の年齢になった時、主に払い込んだ保険料全額が返還される仕組みとなっています。
ただし、無条件に全額が返還されるわけでは無く、給付金を受け取った分を控除されて返還されます。
また、返還される保険料は主契約のみで、特約保険料分は返還されないことになります。
そのため、特約をどんどん契約に付加したからと言って、その分の保険料が多めに戻るわけでは無いので注意しましょう。
貯蓄型のメリット・デメリット
貯蓄型に加入したら、保険料全額(主契約分)の返還を期待して、給付金をなるべく利用しないように契約者(被保険者)側は考えるはずです。
とするならば、契約者(被保険者)は、日々の生活習慣や健康管理にいっそう気を付けることになるでしょう。
つまり、保険料の返還される仕組みがインセンティブとなり、健康増進の効果が期待できます。
掛け捨て型の場合は、保険料が返還されない分、『どうせがんになっても給付金を受け取れる』からと油断し、逆に不摂生となる人も残念ながらいます。
貯蓄型なら、給付金を請求しなければいずれ保険料が返還されるので、このように油断する事態も防ぐことができるはずです。
ただし、保険料を積み立てる分、掛け捨て型よりも保険料が割高となる点には注意しましょう。
過剰に保険料負担が重くなれば、保険継続も難しくなってしまいます。
貯蓄型はどう活用する?
貯蓄型で気を付けなればいけない点として、【終身払】のみの商品が多いこともあげられます。
そのため、仮に保険料全額が返還されても、終身がん保険を継続したい場合には、再び返還された保険料を払い込むことになるでしょう。
老後の公的医療保険をチェックしよう!
貯蓄型で保険料が返還される年齢は、選択が可能な場合でも、60代以降がほとんどと言えます。
保険料が返還される時期には、次のような保険診療の負担軽減が図られるはずです。
(1)高齢受給者証
国民健康保険加入者が70歳になると、お住いの市区町村から国民健康保険被保険者証兼高齢受給者証が交付されます。
一方、健康保険加入者の方々は協会けんぽや健康保険組合から、健康保険高齢受給者証が交付されます。
いずれも原則として2割自己負担となります。
(2)後期高齢者医療被保険者証
その後、75歳になれば国民健康保険・健康保険加入者いずれも、後期高齢者医療制度へ移行します。
そして、後期高齢者医療被保険者証が市町村から送付され、原則として1割自己負担となります。
誰でも70歳・75歳に達すれば、段階的に保険診療の医療費負担は軽減されていくことになります。
そのため、終身がん保険の必要性はやや薄れていくことでしょう。
老後の入院費として
とすれば、契約者(被保険者)としては、通院治療に交通費が非常にかかる場合や、がん発症の際に先進医療を受けると強く希望している場合以外は、全額自己負担となり得る【差額ベッド代】の費用負担を考慮するだけで足りるはずです。
つまり、保険料が全額返還されたタイミングで保険を解約し、受けとったお金は差額ベッド代に活用するために貯金する方法をとれば、以後の保険料負担の必要もなくなるはずです。
貯蓄型にはこのような活用法があるので是非検討してみてください。
終身がん保険のメリット・デメリットは?
保険のドリル読者
では、終身がん保険のメリット・デメリットについてわかりやすく教えて下さい。
松葉 直隆
終身がん保険のメリットは一生涯保障?
終身がん保険の最大のメリットは、やはりがん治療サポートが一生涯受けられる点です。
この終身がん保険の保障として、がんで入院した際に保障される【入院給付金】があります。
医療保険の場合では【1入院〇〇日まで、通算〇〇〇〇日まで支払限度】と設定している商品がほとんどで、がんの入院が無制限保障となるには特則を付加する必要があります。
しかし、終身がん保険なら一生涯、無制限保障となる商品がほとんどです。
これならば同じがんが原因で再入院をしたら、保障上限に達し給付金が受けられないと言うリスクはありません。
また、まとまった一時金が受け取れる【がん診断給付金】という保障も、ほとんどの商品で設定されています。
こちらは一時金ですが、一回きりの保障ではなく1年または2年の間隔を置いて、がんで入院した場合に何回でもまとまったお金が受け取れるお得な保障です。
がん診断給付金は数百万円単位で設定できる商品があり、実際にかかった医療費よりもはるかに大きいお金を受け取ることも可能です。
終身がん保険のデメリットは?
終身がん保険は一生涯保障される点が魅力と言えるものの、保障内容は契約当時に想定された医療技術が対象となります。
その後、終身がん保険へ加入し、そのまま長期間放置するようなことがあれば、当時は全く想定されなかった治療法がメインとなっている場合もあります。
つまり、がんを発症し新しい治療法を受けた場合、当時の医療技術を保障対象とする商品では、とりわけ手術給付金が受け取れなくなる可能性もあるのです。
簡単に言うと、医療技術と保険の保障内容にミスマッチが出来ると言う事です。
『自分は、がん診断給付金・入院給付金しか付帯しない』と言う方々は別として、がんの手術・治療を受けてしっかり給付金も受け取りたい方々は、定期に保険を見直すべきか考慮した方が良いでしょう。
医療保険にも免責期間はある?
終身がん保険に限らず定期のがん保険にも【免責期間】が設定されています。
免責期間とは?
この免責期間は、保険契約が有効に成立しても加入後、約90日間は保障が適用されない制約を言います。
がんは自覚症状が無いので、保険契約が開始されて短期間に、いきなり契約者から給付金請求をされないよう、保険会社が定めた制約です。
では、病気やケガの幅広い治療サポートを行う「医療保険」なら免責期間はないのでしょうか?
実は、医療保険であってもがんに関する治療サポートへ該当する場合は、この免責期間は適用されてしまいます。
たとえ医療保険であっても、がんに関しての保障が付帯されていれば、加入後約90日間だけは様子を見ることになるのです。
免責期間の無いがん保険もある?
この免責期間が設定されていないがん保険も、わずかに販売されています。
これならば契約後90日間も待つ必要は無く安心です。
ただし、【がん診断給付金】が設けられていない等、保障に関して制約があります。
そのため、申し込む前には保障内容をチェックし、よく検討した上で手続きをした方が無難です。
終身がん保険と定期がん保険の違いは?
保険のドリル読者
定期タイプの特徴について、わかりやすく教えて欲しいです。
松葉 直隆
終身タイプと定期タイプを比較!
がん保険の終身タイプと定期タイプには次のような特徴があります。
比較 | 終身がん保険 | 定期がん保険 |
メリット |
・一生涯がん治療を保障 ・短期払を選べば長期的にみると保険料がお得に |
・保険料が終身タイプより安い ・保険見直しが容易 |
デメリット |
・契約内容によっては見直しが難しくなる ・放置していると保障内容が時代遅れになることも |
・更新の度、保険料が上がる ・一定の年齢に達すれば保険終了となる |
表のように終身タイプも定期タイプも一長一短はあります。
定期がん保険を契約したら、保険期間が定められていても自動更新は行われます。
しかし、一定の年齢(例えば85歳・90歳)となった場合は、更新が不可能となり保険契約は終了します。
がん発症が心配される時、保障が無くなって困る人は終身がん保険を選ぶべきでしょう。
定期タイプは若者向けか?
定期がん保険は前表であげた通り、保険料を非常に安く抑えられる点が最大の魅力です。
終身がん保険と保障内容がほとんど同じでも、月払保険料1,000円以下はもちろん、基本設定だけなら500円程度の商品も存在します。
破格の安さが際立つ定期がん保険なので、『別に発症する事態になるとは思えないが、一応、保険をかけておきたい』と思う方々に最適の商品と言えます。
定期がん保険は、20代・30代の若い世代の方々向けとも言えます。
この世代でがんを発症するリスクは中高年ほど高く無いですがリスクはゼロとは言えません。
万一の事態を想定し、ワンコイン分をかけておいた方が良いでしょう。
とはいえ、設定された保険期間が満了し、契約が自動更新されれば、その分保険料は高くなっていきます。
定期がん保険を見直して終身がん保険を選ぶ?
定期がん保険へ加入すれば当面の備えとして、保障を継続することになります。
しかし、ご自分が一定の年齢になったら保険の見直しをした方が良いでしょう。
見直しをする年齢としては40代が理想的です。遅くとも50代前半には見直した方が無難です。
なぜなら、がんは中高年以降に多く発症する病気だからです。
この発症リスクが高まる年齢となる前に、定期から終身がん保険へ加入し直すことを検討するべきでしょう。
定期タイプは前述したように、更新するたびに保険料が割高となる上、年齢に上限が設けられています。
そのため、保険に加入し直す際は、保障内容・保障金額を充実させ、更に一生涯保障される終身タイプの商品を選べば、ご自分が高齢になっても安心できます。
もちろん40代・50代で契約する、保障内容も充実させる、と言う場合それなりに保険料は割高となります。
しかし、40代・50代ともなれば給与は高くなっている頃であり、若い頃よりも多くお金を回せる余裕があるはずです。
まずはご自分の収入や家計の負担、ローンの返済等の有無も考慮し、保険見直しを冷静に見極めて対応しましょう。
終身がん保険を選ぶ際の注意点は?
保険のドリル読者
それでは、がん保険を申し込む前にチェックしておくべき点があれば教えて下さい。
上皮内新生物が保障されるかどうか
がん診断給付金を有効に活用するには?
通院給付金の必要性
の3つについて解説します。
松葉 直隆
上皮内新生物が保障されない?
【がん】がどれくらい進行しているのかを表す度合いは、概ね「ステージ0、I、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ」に区分されます。
上皮内新生物は、がんが身体や臓器の表面等に止まり、筋肉の層を浸食しておらず間質細胞に広がっていない状態を指します。
進行度合で言うならステージ0に該当します。
上皮内新生物の段階でがんを取り除けば、転移・再発の危険性はほぼゼロとなり、完治が十分可能な状態と言えます。
そのため、生命保険会社の販売する商品によっては、深刻な事態としてみなされず、治療保障の対象外とされる場合もあります。
保障が悪性新生物の半分以下?
上皮内新生物の治療であっても、給付金の対象となる場合はもちろんあります。
しかし、保障金額が悪性新生物(悪性のがん)より制約されていることは多いです。
例えば、がん診断給付金の場合、悪性新生物・上皮内新生物とはじめて診断確定されれば給付金が受け取れる設定でも、【上皮内新生物限って数十万円が上限で給付回数も1回のみ】という条件が付加されている場合もあります。
また、主契約では悪性新生物しか保障されず、上皮内新生物の治療サポートを受けたいなら特約で付加することが必要な商品もあります。
同額保障はあるけれど
悪性新生物・上皮内新生物を同額保障すると言う保険商品も販売されています。
こちらに加入すれば、上皮内新生物だからといって保障は減額されません。
ただし、がん診断給付金を例にすれば、設定できる保障金額が悪性新生物のみを保障対象する商品より、全体的に半額以下に抑えられていることがあります。
そのため、終身がん保険の複数の商品を見比べながら、ご自分の理想に合った商品を選んだ方が良いでしょう。
がん診断給付金は高めに設定を!
ここまで記事を読んできた方々の中には、『度々、がん診断給付金の話題は出ているが、そんなに大事な保障なのか?』と思われた人もいるはずです。
こちらではがん診断給付金の特徴と活用法について解説しましょう。
がん診断給付金とは?
がん診断給付金は、被保険者の免責期間を経過した上で医師から、がんと初めて診断確定された時に給付金の請求ができる保障のことです。
つまり、入院の有無は問われません。
そのため、入院治療を開始する前に、保険会社に給付金請求ができ、他の給付金より早くまとまった一時金が受け取れるメリットはあります。
更に一度きりの給付ではなく、1年または2年と言う間隔を置いて、再びがんで入院したことを条件に、同額の一時金を何度も受け取ることができます。
がん診断給付金は、このようにとても使い勝手が良い保障と言えます。
終身がん保険に限らず、定期がん保険でも設定されている一時金です。
保障金額を高めに設定し有効活用を!
がん診断給付金は保障上限が200万円~300万円まで設定でき、高めに保障金額を設定していれば、一度でまとまったお金が手に入ります。
このがん診断給付金だけで、入院や治療、更には通院サポートを賄うことも可能です。
つまり、がん診断給付金だけを保険会社に請求すれば、いちいち入院や手術を受けるたびに、給付金を請求する手間が省けます。
被保険者本人は治療に、家族は看病に専念できるのです。
終身がん保険を選ぶ際は、このがん診断給付金がどれ位充実しているか、しっかりチェックしてから申し込みをした方が良いでしょう。
通院給付金は本当に必要か?
厚生労働省の報告によれば、悪性新生物(悪性のがん)を治療目的とした入院は平均17.1日となっています。(出典:厚生労働省「平成29年(2017)患者調査の概況」)
意外に短期の入院で退院できると感じた皆さんも多いはずで。
しかし、【退院=完治】とは一概に言い切れません。
その後の経過観察や、通院で放射線治療・抗がん剤治療を受ける等、長期間にわたり自宅と医療機関を往復しなければいけないケースがあり、その時の交通費は当然全額自己負担です。
医療機関へ通院するのに結構な費用負担が想定されるなら、【通院給付金】を保険契約時に設定するべきでしょう。
ほとんどの終身がん保険には、特約として設けられている保障です。
通院給付金は日額で算定され、【日額×通院日数】で金額がカウントされます。
ただし、退院後180日以内と言うように制限もあり、1入院〇〇日と言う形で保障を限定している場合がほとんどです。
やや入院給付金よりは使い勝手の悪さを感じるかもしれません。
また、がん診断給付金を高めに設定していれば、交通費分も賄うことができます。
ただし、がん診断給付金や入院給付金として受け取ったお金が、治療途中で無くなってしまった場合、それらを補完する保障として、通院給付金を主契約に付加した方が良いでしょう。
まとめ
終身がん保険は、がん治療をより手厚くサポートする備えとして、とても頼りになる商品です。
しかし、これまで見てきたように、終身がん保険には一長一短も存在します。
まずは申込を行う前に、その商品の特徴や保障条件をよく吟味し、納得の上で加入手続きを行うことが大切と言えるでしょう。
終身がん保険だけではなく、定期がん保険や貯蓄型のがん保険、医療保険のがん特約など、ご自分のニーズに合わせて備えられるようにしましょう。