生命保険会社が販売する保険は魅力的な商品ばかりで『加入すればお得なのでは?』と思わずそう考えてしまいます。
しかし、冷静に考えると【非常にリスクの高い保険】【受取率が低く積み立てた意味があまりない保険】【条件が厳しすぎて本当に保障されるか不安な保険】などが存在します。
また、年齢やご自分の職業によって、不要と考えられる生命保険もあります。
そこで今回は、①リスク・②柔軟性・③受取率(返戻率)と言う点からから、『入ってはいけない生命保険』をランキング付けしてみます。
- 『入ってはいけない保険』の特徴を解説
- 『入ってはいけない保険』理由を紹介
- 保険選びのポイントを解説
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『入ってはいけない生命保険』の特徴
保険のドリル読者
でも保険選びの際に『加入しない方が良い保険商品もある』と聞きました。
松葉 直隆
損する可能性のある保険
生命保険は、【ご自分が病気やケガをした際の備えとして(医療保険・がん保険等)】【死亡した際の備えとして(死亡保険・収入保障保険等)】【様々なリスクの備え(介護保険・三大疾病保険等)】【将来の資金確保手段として(学資保険・個人年金保険等)】など、役立つ商品が販売されています。
しかし、十分な保障金額が設定できても、給付条件がかなり厳しい、その後の経済事情で損失を被るおそれのある生命保険も存在します。
心配なリスクの備えとして申込んだはずの生命保険で、【保障が受け取れない】【元本割れ(払い込んだ保険料より戻るお金が少ない)が起きた】という利用者のクレームも指摘されています。
この様に、『生命保険へ加入すればどんな事態が起きても安心』というわけではないのです。
各保険利用者の事情も影響する?
ある生命保険がご自分にとって大助かりの商品であったとしても、別の人にはあまり加入するメリットが少なく【保険料の無駄】としか思えないケースもあります。
例えば、会社員の方々ならば生活補償や労災補償が充実し、お勤め先の事業所の各補償をチェックして十分なサポートが得られると感じたら、わざわざ民間の生命保険へ入る必要はありません(詳細は後述)。
しかし、自営業者ならそうも言っていられません。
自営業者自らが生命保険へ加入しなければ、いざという時に頼りとなるのは【公的医療保険】や、一定の条件で認められる【障害基礎年金】または【遺族基礎年金】くらいしか無い点に注意しましょう。
このように各保険利用者の職業や加入する公的保険・公的年金制度の違いでも、生命保険へ入る必要性に違いが出てきます。
入ってはいけない生命保険ランキング!
こちらでは、①リスク・②柔軟性・③受取率(返戻率)という視点から判断し、入ってはいけない生命保険をランキングしました。
ワースト1位~4位までを見てみましょう。
判定基準
次の判断基準でランキングしています。
- リスク:保険加入して安全か?
- 柔軟性:給付条件は厳しすぎないか?
- 受取率(返戻率):あまりに低すぎないか、割合が大きく変化しないか?
ワースト1位~4位
こちらで気を付けるべき生命保険をみてみましょう。
ワースト順位 | リスク | 柔軟性 | 受取率(返戻率) |
1位:『外貨建て保険』 |
× 国内外の経済動向にかなり翻弄 |
〇 運用停止が可能な商品も |
× 大きな利益の反面、大損害も |
2位:『三大疾病保険』 |
〇 国内外の経済動向に影響は受けない |
× 給付条件が非常に厳しい |
△ 解約の際は元本割れの恐れあり |
3位:『学資保険』 |
〇 確実に学資金が受け取れる |
〇 契約者のまさかの事態で保険料免除も |
× 受取率はかなり低く、解約の際は元本割れする |
4位:『終身保険』 |
〇 確実に保険金が受け取れる |
〇 契約者のまさかの事態で保険料免除も |
△ 解約の際は元本割れの恐れあり |
次章以降では、なぜこれらの生命保険が『入っていけない保険』なのか、その特徴や仕組みについて解説していきましょう。
『外貨建て保険』はどんな保険?
保険のドリル読者 外貨建て保険に潜むリスクを是非教えて下さい。
松葉 直隆
外貨建て保険の加入は博打?
外貨建て保険は以前より【ハイリスク・ハイリターン】な商品と指摘されている生命保険です。
外貨建て保険といっても、死亡保険や養老保険、個人年金保険というように種類は豊富です。
これら積立を目的とした商品が、ドルやユーロ等で運用される仕組みになっている商品を外貨建て保険と呼んでいます。
外貨建て保険はそれこそ運用成績が良ければ、受取率(解約返戻率)は200%を超え、契約者側に大きな利益をもたらします。
その一方、運用成績が良くないと受取率(解約返戻率)もあまり伸びず、契約者側の予想に反してわずかな利益しか得られない場合もあります。
当然運用に失敗すれば、元本(払い込んだ保険料)を大幅に下回るお金しか戻らず、大損失を出すケースも否定できません(元本割れ)。
外貨建て保険は、ドルやユーロ等を契約通貨として運用するわけですが、この契約通貨の運用がうまくいくかどうかは誰にも予想できないのが、この商品の大きなデメリットです。
外貨建て保険で上手くいくための前段階として、契約通貨発行国の景気の良好なことが条件となります。
外貨建て保険に潜むリスクとは
外貨建て保険で考慮しなければならないリスクは次の通りです。
入ってはいけない理由その1:景気の停滞はいろいろな要因で起こる
契約通貨発行国の景気の停滞は、単に国内産業等の進展の良し悪しだけが影響するのではありません。
契約通貨発行国内で、天災(大地震・大津波等)や重大な環境破壊・大規模テロ・クーデターなどの政情不安が起きれば、やはり経済は混乱します。
最近では【新型コロナウイルス感染症】の世界的流行で、日本や世界の市場経済が大混乱となったケースもあります。
このような事態が発生すれば、各国の経済の回復は不透明となり、契約通貨発行国の景気もいつ停滞を脱するのか、どんな専門家にも予測はつかないのです。
入ってはいけない理由その2:為替変動に大きな影響を受ける
たとえ契約通貨発行国の景気が好調でも、日本国内で円高が進行すれば、契約通貨を運用して戻るお金が増えても、円と交換したら大きな損失となります。
逆に、契約通貨発行国の景気が不調でも、日本国内で円安が進行すれば、その分得られるお金は多くなります。
この様に、外貨建て保険は為替相場に大きく影響されてしまいます。
ケースとして最悪と言えるのが、保険料を払い込む時期は円安だったが、お金を受け取る時期になって急激な円高が進行してしまったという事態です。
つまり、円安で多くの保険料を払い込んだのに、受け取るお金が円高でわずかしか戻らないという事態となります。
これでは、なんのため資産を運用してきたのかわかりません。
入ってはいけない理由その3:手数料がかかる
保険料の払込はもちろん日本円で大丈夫です。
しかし、外貨で運用する以上、保険会社の方で保険料を払い込む際は日本円から外貨、受け取る時は外貨から日本円に交換します。
その時に両替手数料がかかります。
当然、手数料を負担するのは契約者です。
概ね外貨建て保険を扱う各保険会社では、保険料を支払うとき1ドルにつき手数料が50銭(0.5円)となっています。
一方、お金を受けとる場合の手数料は1銭~50銭と幅があります。
もちろん外貨で保険料を払い込み、外貨で受け取れる保険商品もあります。
この方法なら為替変動の影響を受けないばかりか、交換手数料もかかりません。
既に外貨を保有している方々なら、その外貨で運用する方が良いでしょう。
しかし、ご自分で新たに外貨を準備する場合も、円から外貨へ両替する必要があるため、結局手数料はかかってしまいます。
運用する金額によっては手数料も大きくなるので、注意した方が良い仕組みと言えます。
選ぶとしたらどんな外貨建て保険が良い?
なるべく損をせずに、外貨建て保険で資産運用したい場合は、選ぶべき商品は非常に狭まります。
外貨建て保険で【元本保証】があるのは理想的です。
外貨建て保険では、この元本保証が明記されている商品を選びましょう。
しかし、この元本保証を謳う多くの外貨建て保険では、外貨ベースのみにその保証が適用される点へ注意も必要です。
つまり、日本円で元本保証が適用されるわけでは無いので、為替相場によっては元本割れを起こすリスクがあります。
日本円での元本保証が明記されている外貨建て保険は、残念ながら現状ではほとんど無い点に注意が必要です。
ただし、一時払型の外貨建て保険で、一時払保険料を「円」により払込んでいた場合、円による一時払保険料分を保証する商品が、わずかに販売されています。
『三大疾病保険』はどんな保険?
保険のドリル読者
三大疾病保険をはじめとした生活習慣病をサポートする商品も販売されていますね。
三大疾病保険に潜むリスクはあるのでしょうか。
松葉 直隆
まとまった保険金は受け取れるけれど
三大疾病保険とは、被保険者が死亡または高度障害状態となった場合に保険金が受け取れる他、その保障範囲を所定の悪性がん・心疾患・脳血管疾患にまで拡大した生命保険です。
保険会社所定の悪性がん・心疾患・脳血管疾患に該当したならば、設定した保険金の全部または一部が受け取れます。
まとまった保険金を受け取れれば、入院や手術治療・通院はおろか、被保険者が働けない間の生活費も賄えることでしょう。
ただし、保険金の全額を受け取る形となれば、その時点で保険契約は終了します。
つまり、死亡保障としてその保険金が家族に下りる機会は無くなってしまいます。
もしも、被保険者が亡くなった場合、遺された家族へ保険金が支払われるように備えたいならば、別に死亡保険へ加入しておいた方が良いでしょう。
条件が厳しく柔軟性に乏しい
三大疾病保険で考慮しなければならないリスクは次の通りです。
入ってはいけない理由その1:三大疾病保険に限定
三大疾病は悪性がん・心疾患・脳血管疾患を指しますが、それ以外の疾病には保障が適用されません。
三大疾病保険の中には、オプションを付加することで、その他の生活習慣病である糖尿病・高血圧性疾患・肝疾患・腎疾患等に保障を拡大できる商品もあります。
ただし、この場合も7つまたは8つの生活習慣病に限定されるケースがほとんどです。
入ってはいけない理由その2:支払い条件がかなり厳しい
三大疾病保険が適用される条件を確認すれば、『【所定】の悪性がん・心疾患・脳血管疾患に該当した場合』と、パンフレット等に明記されていることでしょう。
問題なのは、この保険会社の【所定の条件】です。
つまり、悪性がん・心疾患・脳血管疾患を発症しただけで、保険金が支払われるわけではありません。
確かに、悪性がん(悪性新生物)は日本人の死因の第1位であり、世間の関心も高く、保険金の支払い条件は【被保険者が生まれて医師から初めてがんと診断確定された】という場合が多いです。
しかし、心疾患の場合は急性心筋梗塞、脳血管疾患の場合は脳卒中に限定されているケースがほとんどです。
更に、急性心筋梗塞または脳卒中となって【所定の状態が60日以上継続】または【手術をした場合】に、ようやく保険金が支払われる商品も多いです。
そのため、心疾患・脳血管疾患は保障される症状が限定され、治療前に保険金請求も難しい点が大きなデメリットといえます。
医療保険・がん保険で備えれば足りる?
三大疾病治療へ備えたいのなら、やはり医療保険で備えた方が良いでしょう。
医療保険の中には、所定の三大疾病に該当すればまとまった一時金が受け取れたり、入院保障が無制限になったりする商品も販売されています。
仮に所定の三大疾病に該当しなくても、通常の疾病の入院・手術をした際に保障される【入院給付金】【手術給付金】等が受け取れます。
また、がん保険はがんに保障対象が絞られるものの、保障範囲に上皮内新生物(初期のがん)まで含まれる等、契約者側に有利となる条件が多いです。
医療保険やがん保険で保障を手厚く備えたなら、無理に三大疾病保険へ入る必要性はありません。
『学資保険』はどんな保険?
保険のドリル読者
この学資保険は一見すると、学資金の積立に有効と思えるのですが。
学資保険に潜むリスクを教えて下さい。
松葉 直隆
受取率が低い!
学資保険の運用は固定金利であり、もちろん前述した外貨建て保険のように為替相場の影響を受ける商品ではありません。
堅実な運用を行っていきたいという方々には向いている商品と言えます。
また、ほとんどの学資保険には【払込保険料免除措置】が付帯されています。
こちらは、契約者である子供の親などが死亡したり高度障害状態になったりしたとき、以後の保険料が免除され、学資金は契約通りに受け取れるという措置です。
学資保険の中にはこの免除範囲を拡大し、契約者が三大疾病を発症した場合、身体障害状態となった場合も適用される商品があります。
ただし、ほとんどの学資保険は最近、非常に受取率は低くなっており101%~105%がやっとという状態です。
また、払込方法を月払で選んでしまうと、元本割れすら発生してしまう学資保険も多く、これでは『何のために積み立てたのか?』と不満に思うこともあるでしょう。
どんな保険でこの教育資金を賄う?
学資保険に代用できる商品を考えるならば、次のような貯蓄型の商品が良いでしょう。
低解約返戻金型終身保険が良い?
詳細は後述しますが、【低解約返戻金型終身保険】をうまく工夫すると良い効果が期待できます。
学費の多くかかる大学進学時に、まとまった解約返戻金が受け取れるよう契約し、保険料払い込みをできるだけ早く終わらせます。
保険料払込終了後、低解約返戻金型終身保険は解約返戻率が急激にUPします。
その特徴を活かし、据え置くことで、効率的な学資金の確保が可能になります。
上手く利用すれば107%~110%の返戻率に達することでしょう。
孫の教育費なら養老保険?
祖父母が孫の大学進学費用を何とかしたいなら、【養老保険】の活用も良いでしょう。
養老保険は契約時に保険満期日を定め、満期になって契約者(被保険者)が生きていれば、死亡保険金と同額の【満期保険金】が受け取れます。
この満期保険金は使途が自由なので、もちろんご自分の老後のためだけではなく、その受け取った保険金の全部または一部を、孫の進学費用に充てても構いません。
ただし、保険期間の途中で解約すると、ほぼ確実に元本割れを起こすのでこの点は注意しましょう。
学資保険を選ぶとしたら?
とはいえ子供のための教育資金は、家族の生活資金や、他の活用目的との混同を避けたい人もいるはずです。
そんなときは学資保険を選ぶのも一つの方法です。
しかし、効率的な資金確保を目指すなら次の点に注意しましょう。
積立目的なら余計な保障は付けない
前述した払込保険料免除措置は自動付帯されている上に、もしもの事態を想定し外すべきではないオプションです。
しかし、学資保険の中には、子供のための死亡保障・医療保障を付加できる商品もあります。
このような保障面を重視したいなら契約に付加するべきですが、その分保険料は高くなり受取率に影響が出ます。
また、子供が未成年の場合(主に中学校卒業まで)、日本全国の市区町村では【こども医療費助成制度】が用意されています。
この制度を利用する場合、親が自治体窓口へ申し出ることで、子供の医療費を助成してもらうことができます。
条件は各市区町村でバラバラですが、この制度を活用できるなら、少なくとも子供のために民間の医療保障へ加入する必要性は薄れることでしょう。
不要と感じた保障はなるべく取り外した方が学資金の受取率はUPします。
保険料の払込回数を少なくする
保険料の払込を少なくすることも、学資金の受取率UPに役立ちます。
保険料の払込回数を月払ではなく、半年払または年払で契約しましょう。
そうすれば、1回分で払い込む保険料は高くなるものの、払い込む保険料総額自体は軽減されますので、その分、学資金の受取率は上がります。
また、学資保険によっては【全期前納】で払い込める商品もあります。
こちらを利用すると受取率109%に達するケースがあります。
この全期前納という払込方法は、払い込む保険料全額分を一気に保険会社に預ける形となります。
預ける形をとるので、中途解約する場合は未経過分のお金は戻ります。
しかし、保険会社へ預ける方法とは言え、数百万円に上るお金を渡している以上、家計に大きな負担とならないか気を付ける必要があります。
『終身保険』はどんな保険?
保険のドリル読者
終身保険にもリスクが潜んでいるのですか?
松葉 直隆
確実に保険金は受け取れるが
終身保険は、一生涯にわたり死亡保障・高度障害保障が約束された死亡保険です。
保険期間中、解約しない限り確実に保険金が受け取れます。
そのため、保険金をしっかりと家族へ残し、相続税対策をしたい方々に向いた商品と言えます。
相続が開始されると
ご自分が亡くなり相続が開始された場合、分割する遺産は不動産資産(土地・家屋)、金融資産(現金・預金・株券等)となります。
相続が開始されれば、問答無用で行政から相続税が課せられるわけでは無く、まず基礎控除が適用されます。
基礎控除の金額は【3,000万円+(法定相続人の数×600万円)】で算定されます。
この計算式で算出された金額以内に収まる場合、税務署の申告も納税も不要です。
しかし、ご自分の遺産が基礎控除の金額を超えてしまう場合もあります。
そんな時は終身保険
終身保険は保険料が割高なので、払い込めばその分金融資産は減っていきます。
とするならば、相続人にかかってしまう相続税も減らすことへ役立つことでしょう。
そして、ご自分が亡くなれば相続が開始されるとともに、死亡保険金も遺族へ下ります。
その際は【生命保険金等の非課税枠】が適用されます。
この非課税枠の計算式は【500万円×法定相続人の数】となります。
相続税の基礎控除で計算する前に、この非課税枠で受け取った保険金額を差し引けます。
つまり、単なる現金・預金を遺産分割する場合より、節税効果が高まるのです。
終身保険は、相続人となる子供や孫の相続税を何とかしたい方々にはありがたい生命保険です。
しかし、資産運用を目的とした場合に困った点もあります。
この点については次項で解説します。
返戻率は低く保険料が割高!
終身保険で考慮しなければならないリスクは次の通りです。
入ってはいけない理由その1:保険料は定期保険の数倍
終身保険は確実に保険金が下りる分、保険料は比較的高額になります。
保険料を短期払(60歳や65歳まで払い込む)する場合や、保険金の設定金額にもよりますが、月払で保険料が数万円に上ることもあります。
この保険料の高さが解約返戻率UPの障害となっているのです。
貯蓄性があるといっても資産運用には向いていない商品と言えます。
一方、定期保険では解約返戻金が無い分、月払保険料は1,000円~3,000円程度で収まる場合が多いです。
入ってはいけない理由その2:支払い条件がかなり厳しい
保険料は高額となる傾向がある以上、保険料を短期払にして据え置いても、思うように返戻率は上がりません。
30年近く据え置いてようやく106%に達する商品がほとんどです。
定期預金より効率が良い運用方法とは言えるものの、驚くほどお金が戻ってくる結果にはならない点へ注意しましょう。
ただし『低解約返戻金型終身保険』は例外?
終身保険でも年払等にすることで返戻率UPは見込めますが、次のようなタイプの終身保険を検討した方が良いでしょう。
低解約返戻金型終身保険は例外?
生命保険会社が販売する終身保険の主流となっているのは、この【低解約返戻金型終身保険】です。
保険料を払い込む期間(低解約返戻金期間)は中途解約しても、わずかな返戻金しか戻りませんが、その分保険料を安く抑えられる商品です。
低解約返戻金型終身保険は、保険料払込終了後、解約返戻率が急激にUPします。
タイミングを見計らって解約すれば、契約者は大きな利益を得られることでしょう。
なお、解約返戻率は契約時に受け取った、解約返戻率の【推移表】などに記載されています。
これらの資料を参考に解約の時期を決めましょう。
低解約返戻金型終身保険の注意点
低解約返戻金型終身保険は、保険料を払い込む期間(低解約返戻金期間)に解約してしまうと、どんなに高くても払い込んできた保険料の7割程度しか戻りません。
そのため、保険料払込終了後に解約しないと損をしてしまいます。
また、返戻率が有利で運用も安全だからと、貯蓄を全額保険料に回すと、急に資金が必要となった場合、結局解約する事態になります。
そんなことにならないよう、普通預金口座へある程度のお金をプールし、不慮の事態に備えておきましょう。
ケースによって『入ってはいけない生命保険』
保険のドリル読者
それでは、職業や年齢によって『入ってはいけない生命保険』はあるのでしょうか?
松葉 直隆
会社員は健康保険や労災補償のチェックを!
会社員の方々は、まず加入している健康保険や労災補償の内容を確認してください。
その内容で十分と感じたら、民間の医療保険や就業不能保険等は不要かもしれません。
特に会社員の場合はいざというとき【傷病手当金】が受け取れます。
この傷病手当金は、業務外で病気やケガにより労務不能となり、賃金の支払われないことで、従業員本人やその家族が生活に困窮することを防ぐ目的で支給されるお金のことです。
傷病手当金が支給される期間は、支給開始した日から最長1年6ヵ月となります。
非常に長期のサポートが受けられる制度となっています。
一方、自営業の場合はこのような制度は無く、やはり民間の医療保険や就業不能保険などで、入院や在宅療養で仕事のできない期間のサポートは備える必要があります。
高齢者に民間医療保険は不要?
皆さんが70歳以降になれば、公的医療保険の自己負担額が更に軽減されていきます。
70歳では高齢受給者証が交付され、原則として2割自己負担に軽減されます。
その後、75歳になれば後期高齢者医療被保険者証が市町村より送付されます。
こちらの場合、原則として1割自己負担となります。
そのため、ご自分が治療する場合、保険診療にとどめ、特別環境療養室や先進医療を利用しないと決めたなら、70歳以降は無理に民間の医療保険へ加入する必要はないでしょう。
ただし、70歳以降になれば介護が必要になるリスクは増加します。
よって、65歳からでも良いので公的介護保険の他に、民間の介護保険への加入を検討した方が無難です。
民間の介護保険では年金形式で保障が受け取れる他、まとまった一時金が受け取れるサービスも用意されています。
民間の介護保険へ入れば、家族が介護する負担も軽減されるはずです。
iDeCoやNISAがあれば個人年金は要らない?
個人年金は老後の資金確保に有効な保険商品ですが、もしもiDeCoやNISAを既に契約しているなら、無理に加入する必要はありません。
これらの金融商品の特徴は次の通りです。
iDeCo
iDeCoとは【確定拠出年金】と呼ばれる私的年金です。
こちらは事業主・加入者が掛金を拠出し、加入者自らがその資産を運用して、その成果により将来の年金受取額が決まります。
掛金は全額が所得控除の対象で、所得税・住民税が軽減されます。
そのため節税効果が高く、もちろん運用次第で給付額を大きく増やすことも可能です。
NISA
NISAは【少額投資非課税制度】であり、利用可能年齢は20歳からとなります。
開設できる口座数は1人1口座です。
年間投資可能金額は120万円が上限となっていますが、非課税運用可能期間は5年間(ロールオーバーし最大10年間まで)と、こちらも節税効果が高い制度です。
ただし、NISAは2024年から2階建ての新NISAに衣替えすることになります。
今後の制度変更には注意しましょう。
まとめ
『入ってはいけない生命保険』に関して解説をしてきましたが、この『入ってはいけない生命保険』にも必ずメリットはあります。
ご自分にとってこのメリットがデメリットを上回ると感じたら、保険の申込を行っても構いません。
しかし、今回解説した様な注意点があると言う事は忘れないで下さい。