犬3匹、猫2匹。実家でこれまでに買ってきたペットの数だ。
もちろん、一度に飼っていたのではなく、引き取ってから育て、死を看取り、また新たな命と出会って今がある。
だが、そこまでにはたくさんのヒヤリ・ハットがあった。
犬・猫は平気で死にそうな事故を起こすからだ。
ペットを飼う同士で会ったときなど「なぜ、犬・猫は灰皿の水を飲もうとしたり、アロマオイルを舐めにいったりと、自ら死にに行くのか」と相談したくらいである。
そこで、今回はその中でも一番の衝撃だった、「犬のホッケ丸飲み事件」に触れたいと思う。
目次
死のリスクも伴う!犬には食べさせてはいけないもの
1度でも犬を育てたことのある方ならわかるだろう。犬は何でも食べる。
人間が許せば人の食べるものだって、何でも食べてしまう。
そして、人が食べるものが犬にとっては猛毒になることもある。
代表的なものでは、これらの誤食が特に危ない とされている。
特に子犬の時期は誤食をしてしまうリスクが高く、 致死量も少ないため重篤な後遺症を残し、最悪のケースでは死に至ることもある。
動物病院に初めて行った際も、最初に医師から伝えられたのは、
医師
とのことだった。
といっても、実家の母は危機意識がないタイプで、言っても聞きはしなかった。
母は戦後すぐの生まれ。「おまんまを犬猫がもらえるだけで、ありがたい」という時代の人だからだ。
これでは母が悪人に見えるが、犬を虐待するために悪いものを食べさせる人ではない。
アレルギーを好き嫌いと混同して、甲殻類アレルギーの私にカニを出すくらいの、「危機意識がなさすぎてヤバいけど、よくいるうっかりさん」である。(そんなに重いアレルギーではなかったため、安心してほしい)
今こそネットが普及してアレルギーの危険性も周知されているが、20年前はこういう事故もよくあったように思う。
……が、何度か犬が誤食を起こしかけてからは、さすがに最低限の知識を学んだようだ。
フラワーアレンジメントの講師だった母にとって、家じゅうに咲く花を完全に除去することは難しい。
だが、実家の花瓶は犬がタックルしてもビクともしないほどの巨大な入れ物に進化した。
嗅覚が鋭い犬にはキツいとされる、アロマオイルも撤去された。
家族もほっとして犬の世話を母に一任していたころ、事故は起きた。
全員が青ざめた犬のホッケ誤食
ある日、母は私に声をかけた。「見てみて、ポニー(犬の名前)がすごいんだけど!」
目をキラキラさせる母の手元には、1匹のホッケ。
そしてそれを、シュレッダーのように丸のみにする、うちの犬。
なお、実家で当時飼っていた犬はコーギーで、小型犬の部類に入る。ホッケはコーギーの体長の半分にも及ぼうかとする大きさだった。
一瞬、
保険のドリル読者
すご……犬って魚も食べるんだ……
と固まったが、すぐ我に返った。
絶対に骨が刺さる!
犬が誤食してまず発生するのは、食道や気道の閉塞 。
つまり、異物や大きすぎるものが詰まってしまい、呼吸や飲食に問題を起こす症状だ。
次に想定されるのが、尖ったものが気道や胃腸に穴をあけてしまうこと。
ホッケの骨は人間ならギリギリ耐えられても、犬の食道は傷つけるだろう。人間だって、ホッケの骨なら喉に刺さりかねない。
その他、ホッケは塩分量や、食事量を考えてもアウトなことこの上ないのだろうが……。
うちの犬はテキトーな母のもとで、いろいろと食べさせられ、山を駆け巡りムキムキマッチョになったシーズーでもある。
保険のドリル読者
普通の犬よりは、頑丈かもしれない……!?
とにかく、ハラハラしつつも様子を見守ることにした。
すると、案の定わんこがグッタリと横たわっている。呼吸はできているが、つらそうだ。
運転できる姉が、急いで動物病院へ連れて行った。
無保険の犬が、手術と入院で20万円
獣医
お見事ですね……
獣医さんも思わずつぶやいた。
犬のレントゲンには、きれいな魚の骨が映し出された。
本当にシュレッダーのように飲みこんだため、魚の骨のシルエットも、そのまま投影されたのだ。
獣医も褒めているばあいではない。小さな誤食だと、吐き気をもよおす薬で対応することもあるらしい。
しかし、ホッケは大きすぎるので摘出手術を受けることに。
手術後は入院も必要となり、大事になってしまった。
入院費も含め、約20万円。
開腹手術は免れたそうだが、もし腹を切開していたら30万円はくだらなかっただろう……と、憔悴した父が話してくれた。
父にとってみれば、帰ったら犬はいないわ、入院費で20万円いきなり請求されるわで、バッド・サプライズにもほどがある。
何より、いきなりの体調不良でぐったりする犬を見るのは、当時ペットにあまり関心がなかった私もしのびなかった。
もう1匹一緒に飼っていた犬が、心配そうに横たわる犬の周りをぐるぐる回っていた。
動物病院が高いことは、意外と知られていない
普段の私たちは、病院に行くとしても3割負担で医療費を払っている。
そのため、全額がいくらかというところに、あまり考えを働かせない。
しかし、ペットには国民健康保険がないため、10割負担となる。
従って、ただの風邪であっても、1万円近く治療費がかかる計算だ。
犬や猫の誤飲誤食にまつわる事故は、年間約20万件 あると言われている。
さすがに我が家のようなホッケを食べさせた事例は、後にも先にも聞いたことはない。
だが、中では死亡例も報告されており、決して軽く見ていいものではない。
今回もすぐに動物病院へ連れて行ったことが犬の命を救ったが、「あと数時間遅ければわからなかった」と、大変お叱りをいただいた。(当たり前だ)
そして、家族が今回、動物病院にすぐ連れて行けたのは、費用のことを考えていなかったからだ。
実は、それまで飼っていた犬は大変健康で、動物病院へ連れて行く機会がほとんどなかった。
育ててきた犬猫はすべて、他の飼い主が捨てようとした子たちだったからだ。
ワクチンはすでに摂取された状態で引き取っており、両親は去勢手術を行わなかった。
そのため、本来であれば幼少期に起きる「ワクチンと去勢手術の動物病院巡り」が起きなかったのだ。
もしこれが、「動物病院は高いもの」と認識されていたら……
家族は動物病院へ連れて行かず一晩ほど様子を見たかもしれない。
そうすれば、犬の命は危うかった。
ペット保険は手術・入院保障だけでも入っておこう
一回で20万円というインパクトは、家族を変えたようだ。
それから両親はほどなくして、ペット保険を見つけて加入した。
ペット保険には大まかに分けて以下の2種類がある。
- 通院を含むほぼすべての医療行為をカバーする
- いざという時の手術・入院費用だけをカバーする
通院を含むほぼすべての医療行為をカバーするペット保険の場合は、毎月数千円単位を負担しなくてはならない。
だが、入院・手術費用だけをカバーするものであれば、月に1000円もかからないものがたくさんある。
いざわが子が異物を食べてしまったら……。
あるいは、自分が気をつけていても、何も知らない他人がうっかり犬猫にとって危険なものを食べさせてしまったら……。
玉ねぎやチョコレートが犬や猫にとって危ないというのは、あくまでペットを飼ったことがある人の知識である。
例えば「犬だから鶏肉が好きだろう」とカレーライスから取り出した鶏肉を与えた人がいるとしよう。
そのカレーライスに玉ねぎが混ざっていて、鶏肉に付着していたら。あるいは隠し味でチョコレートが入れられていたら……。
犬が何を食べてしまうかは、人間の責任だ。
そして、全ての誤食を防ぐことは非常に難しい。
ペットを飼ったことのない人には、「犬や猫なら、本能で毒になる食べ物は避けるだろう」という思い込みもあるからだ。
ペット保険はそういったヒヤリ・ハットの際、すぐ病院に連れて行ける砦となるだろう。
現在の実家には「シルビア」と名付けられた老猫が1匹、スヤスヤと寝ている。
シルビアは体の弱い子のわりに、すぐケンカをして病院のお世話になる。
だが、それでも今は安心だ。
ペット保険が、彼女にはかかっているのだから。
私たちは最善の医療を、彼女にほどこしてあげられるのだから。
恋愛・就活ライター
トイアンナ
これまでに受けた人生相談は1,000件以上。
その相談実績と、慶應義塾大学卒業後、外資系企業でマーケターとして活躍した経験をもとに2015年に独立。
恋愛・就活ライターに。
現在は複数のメディアに恋愛コラムや就活のハウツーを説く連載を寄稿する他、就活イベントでの講演・ライター育成講座への登壇・テレビ(NHK他)の取材協力など、幅広く活動する。
書籍:『確実内定』(KADOKAWA)『モテたいわけではないのだが』(イースト・プレス)『恋愛障害』(光文社)
過去出演番組:『おしゃべりオジサンとヤバイ女』(テレビ東京系)『最上もがのもがマガ!』『Wの悲喜劇』(AbemaTV)
Twitter:@10anj10