とにかく、たくさんペットを飼っている家だった。
物心ついた頃には大型犬が家に居座っており、私より大きいサイズでほえ回っていた。
あまりに恐ろしかったので、私はその犬に一切近づかなかった。
その犬は脱走して事故死したため、それから10年ほどペットのいない暮らしが続いた。
高校に入ってすぐ、私が実家を出た。
それから母は寂しさを埋めるように、犬や猫をどんどん増やした。
帰省するたびに犬や猫が増えるものだから、「この家はどうなってしまうのだろう?」と不安でもあった。
もともと動物に興味がない父は、飼う前は猛反対していたが、いつしかペットの世話を当たり前のようにしていた。
慣れとは恐ろしいものだ。
そして、今まで家に関わった犬や猫は、合計5匹となる。
うち4匹は鬼籍に入り、今は残った猫一匹が、のんびりと老後を過ごしている。
こうして多数の犬や猫を引き取り、そして死を看取ってきた流れを見ていると、ペット保険の重要性をたびたび思い出す……
はずだが、私も猫を飼うまではすっかりペット保険の存在を忘れていた。
幼い犬や猫は、死にやすい行動をとる
私の周りで20代で結婚し、子どもを産んだ女性たちが口々に言っていた。
「どうして子どもたちは、わざわざ死にに行くような行動をとるのだろうか?」と。
子どもは製品開発の担当者が思いもよらない方法で危険をおかし、事故を起こす。
国民生活センターの事例 を見ていても、
など、対策をしても無理だろ! と、頭を抱えたくなる方法で子どもはケガをする。
語弊を恐れずに言うと、幼い子供と幼い犬猫の行動は似ている。
私が猫を飼い始めたときに驚いたのは、猫が自分の危険を顧みず死にそうな所へ突っ込んで行くとことだった。
割れた瓶があるゴミ箱へジャンプして飛び込もうとし、感電リスクがある電気コードを何度注意しても食べる。
やむなく電気を通していないダミーのコードを準備すると、なぜかダミーは噛まずに電気が通っているコードだけをかじりに行く。
言葉が通じないのだから、叱ってもすぐには効果がない。
根気よく「だめだよ」を繰り返す。
アルコールも積極的に飲みに来るし、人間用の薬もエサと間違える。
自分で猫を飼うまでは、犬や猫は自分の本能で「毒になるもの」を避けられる生き物だと思っていた。
どうやら動物の本能は、少なくとも飼い猫において全く役に立っていないようだ。
思い起こせば実家の犬だってホッケを丸呑みしたし、ハーゲンダッツのふたをゴミ箱から掘り起こしてペロペロ舐めていた。
トイアンナ
この原稿を書いている今も、机の上にあるアリナミンVを舐めようとする猫と攻防戦を繰り広げている。
栄養ドリンクに含まれているカフェインは、猫にとって猛毒 だ。
トイアンナ
と、何度床へ降ろしてもアリナミンVを舐めに上ってくる猫を見ながら、ガックリきている。
ペット保険、入り損ねて月4万円
うちの猫は、引き取って早々に風邪をひいた。
だが、 契約時に一か月は無料の保険がついてきたおかげで、治療費は全て戻ってきた。
バカだったのはここからだ。
私が契約の更新を怠ったせいで、ペット保険が1ヶ月間ほど切れてしまった。
その間、治る予定だった風邪は長引き、いつまでも幼い猫がくしゃみをし続けていた。
顔面に容赦ないくしゃみを浴びながら、動物病院へ毎週連れて行く。
ペットは人間と違い国民健康保険の対象外になるため、風邪の治療でも1回につき1万円ほどかかる。
つまり、猫を飼って2か月目から、治療費に月4万円。これは参った。
ただでさえ、猫を飼い始めた時期はお金はかかる。
幼い猫は通常、ケージに飼う。
普通の部屋に寝泊まりさせるとクッションの裏などに隠れ、うっかり大人が座って圧死するリスクがあるからだ。
また、猫のメンタルヘルスにとっても、ケージで寝ると安心できてよい と聞いた。
さらに、ペットトイレ、新しいキャットフード、おもちゃ、電源コードなどをブロックするコードカバー、ウェットシート、匂いが外に漏れないゴミ箱、同じく専用のごみ袋……
とにかく必要になったものをあげればきりがない。
猫ちゃん自体が 20万円を超えるケースも少なくないだろう。
私はペットショップで購入しなかったため、子猫の値段こそ安かった。
だがその後は諸々の出費に頭を痛めた時期だ。
そこで治療費が月4万円かかる状況は、かなりしんどかった。
ペット保険に入らなくてもよいとは言うが
それなら、ペット保険に入るべきか?
周りのペットを飼っているご家庭に相談すると、「最初は入らなくてもいいんじゃない?」との声も多い。
実際に私も、ペット保険はオプションだと思う。
だが、こうして一度でも通院を経験してみると、今後どんなことがあっても対応できるように「最低限の保険」は必要だと痛感した。
風邪の通院程度であれば数万円で済むが、子猫がうっかりアルコールやたばこなどを誤飲して手術対応になった場合は、10万円以上の費用を覚悟せねばならない。
覚悟せねば、その子は死ぬだけだ。
また、後遺症が残った場合は一生通院もあり得る。
それから保険を申請しても、審査が通るかどうかは分からない。
実際に私はペット保険を申請した際、猫が風邪をひいていたために、気管支系の病気は保険適用外になってしまった。
たかが風邪でも、保険の条件に規制がかかるのだ。
であれば健康なタイミングで申請しておくに越したことはない。
ペット保険を選ぶなら大きく2コース
もしここまで読んでペット保険への加入を検討されるのであれば、まずは自分が「ズボラか几帳面か」を考えてほしい。
ズボラな人にとって、保険の申請書類を毎度書くことは、大変面倒だ。
私は典型的なズボラだが、 保険を申請すればお金が戻ってくることが分かっているにも関わらず、申請の期限を過ぎてしまう可能性もある。
それでは、保険に入った意味がない。
そこで私は、動物病院の窓口で「自動的に保険分を割り引きして精算」してくれるタイプを探した。
病院の窓口精算に対応している保険商品だと、国民健康保険と同じように、会計で自動的に保険料を引いてくれる。
窓口精算のペット保険は、私が調べた限りでは2社あった。
- アイペット損害保険株式会社
- アニコム損保
何を選ぶべきかは、以下のことを調べてからの方がいいだろう。
- 月々の契約金額
- 補償内容
- あなたの家の周りにある病院がどちらの保険会社に対応しているか
断言してもいい。
ズボラ派は遠くの病院へわざわざ通って、窓口精算を選んだりなんかしない。
近くの病院で自腹を切ってしまう。
私の場合、偶然家のそばにある動物病院がアニコム損保に加入していたため、アニコム損保で契約した。
屋内で飼う猫が外で事故を起こすとは考えにくいため、家の最寄りだけで検討している。
犬の場合は散歩先での事故も考えなくてはならない。
ドッグランやアウトドアのアクティビティに通わせる犬なら、そのエリアの動物病院も調べたほうがいいだろう。
なお、窓口対応をしてくれる保険商品は、後日治療費を申請するタイプの商品より高い傾向にある。
私の猫で比較したときは、月1,000円以上の差が出た。
したがって、「便利だから窓口精算」という安直な考えも勧めない。
もし、あなたが書類手続きをきちんとできるタイプなのであれば、後日申請の安く契約できる保険はたくさんある。
価格をとるか、便利さをとるかはしっかり検討して、保険を選んでほしい。
ペット保険には、加入年齢に制限がある
そして、もう一つ気をつけていただきたいのが、「ペット保険の多くは加入できる年齢に制限がある」ことだ。
犬猫は種類にもよるが、10年から15年生きることも多い。
しかし、10歳以上が入れる保険はかなり限られている。
これは、人間の保険と似た事情だ。
人は高齢化が進んでいることもあり、少し割高な料金を払えば生命保険や医療保険にも加入できる。
ペットの場合は、「5歳以上」かどうかで選べる保険の量がかなり変わるため、5歳未満のタイミングで保険を選んでいただきたい。
恋愛・就活ライター
トイアンナ
これまでに受けた人生相談は1,000件以上。
その相談実績と、慶應義塾大学卒業後、外資系企業でマーケターとして活躍した経験をもとに2015年に独立。
恋愛・就活ライターに。
現在は複数のメディアに恋愛コラムや就活のハウツーを説く連載を寄稿する他、就活イベントでの講演・ライター育成講座への登壇・テレビ(NHK他)の取材協力など、幅広く活動する。
書籍:『確実内定』(KADOKAWA)『モテたいわけではないのだが』(イースト・プレス)『恋愛障害』(光文社)
過去出演番組:『おしゃべりオジサンとヤバイ女』(テレビ東京系)『最上もがのもがマガ!』『Wの悲喜劇』(AbemaTV)
Twitter:@10anj10