ソニー生命には、老後の資金を確保するための「変額個人年金保険」が販売されています。
この「変額個人年金保険」は、積極的な投資運用で資産を増やす私的年金ですが、確定拠出年金(iDeCo)とどこが違うのか気になる方々も多いのではないでしょうか。
この記事では、ソニー生命の「変額個人年金保険」と確定拠出年金(iDeCo)の特徴を比較解説しますので、「変額個人年保険」と確定拠出年金(iDeCo)の違いとメリット・デメリットを確認していきましょう。
- ソニー生命の「変額個人年金保険」の紹介
- 確定拠出年金の仕組みを解説
- それぞれを比較してメリット・デメリットを紹介
- 保険の新規加入や見直しを検討するなら、相談員の約97%が国家資格であるFPの資格を所持している「ほけんのぜんぶ」で無料で相談することをおすすめします。
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ソニー生命の個人年金保険を紹介
保険のドリル読者
たとえ満額が給付されても、生活資金の一部しか賄えないような気がしてなりません。
公的年金ばかりではなく私的年金の活用で老後の不安を解消したいです。
松葉 直隆
公的年金は頼りない?
総務省では、60歳以上の無職高齢者の家計収支に関する統計を公表しています。
その報告から極めて深刻なデータを読み取ることができます(出典:総務省「家計調査報告 家計収支編 2019年(令和元年)平均結果の概要」)。
高齢夫婦世帯の場合
60歳以上の高齢夫婦世帯では、毎月の非消費支出が平均で30,982円に上ると言われています。
なお、非消費支出とは税金・健康保険料等が該当します。
また、毎月の食費や水道光熱費や保健医療費、娯楽費等の消費支出が平均で239,947円となっています。
上記の【非消費支出+消費支出】の合計は270,929円となります。
一方、高齢夫婦世帯の毎月の実収入は、社会保障給付(年金)やその他(パート等)の収入を合わせて平均237,659円となっています。
収入と支出を計算すると、毎月33,269円の赤字となっています。
実に年間では399,228円も不足します。
高齢単身世帯の場合
60歳以上の高齢単身世帯では、毎月の非消費支出が平均で12,061円に上り、消費支出は平均で139,739円となり、【非消費支出+消費支出】で合計151,800円となります。
では、高齢単身世帯の毎月の実収入はどうでしょうか?
こちらは、社会保障給付・その他の収入を合わせて平均124,710円となっています。
毎月27,090円の赤字となっています。
実に年間では325,080円も不足します。
個人年金保険は変額タイプ1商品のみ?
前述したように公的年金に頼るだけでは、とてもゆとりある老後は送れません。
不足分へ充てるため預金を切り崩したり、パートをしたりして賄う必要が出てきます。
しかし、預金は無限にあるわけでなく、また、いつまでも元気で働ける保証はありません。
そこで、自分の老後のために早いうちから備えることが大切です。
その一つの方法が【私的年金】の活用と言えます。
この私的年金として【個人年金保険】【確定拠出年金(iDeCo)】があります。
ソニー生命が販売する私的年金は個人年金保険であり、変額タイプという積極的な投資運用を目的とした商品1種類が販売されています。
その名も「変額個人年金保険」です。
この商品は運用実績が良ければ、受取率160%近くにも達する成果が期待できます。
特別勘定とは?
国内・海外経済市場(国・企業)へ投資し、資産運用を重視する変額タイプである以上、その運用も通常の円建て個人年金保険とは異なる方法で行われます。
それが【特別勘定】と呼ばれる、変額商品の独特の勘定による投資運用方法です。
この特別勘定は、他の勘定と分けてソニー生命側が管理・運用する勘定を指します。
この勘定を利用し、国内・海外の株式・債権により資産の増進を目指します。
つまり、他の保険商品の保障継続のため払い込まれた積立金とは別に、特別勘定部分が資産運用されるのです。
なお、ソニー生命には個人年金保険の他、終身保険・定期保険・養老保険で変額タイプを扱っています。
「変額個人年金保険」を解説
保険のドリル読者
そこで、ソニー生命の「変額個人年金保険」の特徴などを教えて欲しいです。
松葉 直隆
「変額個人年金保険」の特徴は?
ソニー生命では、変額保険の仕組みを導入し、個人年金保険をより資産運用に役立つ商品として販売しています。
資産運用の際に利用する特別勘定は株式型・日本成長株式型・世界コア株式型・世界株式型・債券型・世界債券型・総合型・短期金融市場型の8種類の中から選択できます。
この勘定の中から1種類を運用しても良いですし、複数の勘定によってリスクを分散し運用することもできます。
「変額個人年金保険」の契約内容は次の通りです。
- 年金種類:確定年金(5年・10年・15年)
- 契約可能年齢:20歳~60歳(一時払の場合20歳~70歳)
- 保険料払込回数:年払・半年払・月払・一時払
- 保険料払込経路:口座振替・指定口座振込
- 基本年金額:20万円(確定年金5年:50万円)~3,000万円
「変額個人年金保険」の内容を紹介
こちらでは「変額個人年金保険」の保障内容と選べる特別勘定を説明します。
「変額個人年金保険」の保障内容
シンプルな保障内容となっています。
(1)確定年金
受け取り期間を5年・10年・15年が選べ、20万円(確定年金5年:50万円)~3,000万円まで年金額を選択できます。
(2)保険料払込免除
被保険者が病気やケガで所定の高度障害状態となった、または不慮の事故で事故日から180日以内に所定の身体障害状態となったら、以後の保険料はいりません。
特別勘定
株式・債券等から好みの勘定を選べます。
(1)株式
- 株式型:ベンチマーク(指標)は日経平均株価。上場投資信託へ投資して、株式市場との連動性を確保する。
- 日本成長株式型:ベンチマーク(指標)はTOPIX。追加型株式投資信託へ投資して、投資信託財産の長期的な成長が目的。
- 世界コア株式型:ベンチマーク(指標)はMSCIワールド・インデックス。国内外の株式等へ投資することで、ベンチマークを上回る投資成果が目的。
- 世界株式型:ベンチマーク(指標)はMSCIワールド・インデックス。有力なブランドを有する企業へ着目、世界各国の株式に分散投資を行い、運用成果の獲得を目指す。
(2)債券等
- 債券型:円貨建債券を中心に運用、中長期的で安定した利回りの確保を目的。
- 世界債券型:ベンチマーク(指標)はFTSE世界国債インデックス。経済環境が良い国に投資し、運用成果の獲得を目指す。
- 総合型:円貨建債券ポートフォリオ(債券の組み合わせの意)から安定した利息収入を確保、期待収益率が高いと判断される資産へ積極的に資産配分。
- 短期金融市場型:ベンチマークは短期金利(無担保コール翌日物等)。短期債券・短期金融商品中心に投資し、運用利回りの確保を目標。
繰入比率
契約時に払い込む保険料の内、特別勘定で運用される金額を各勘定へどのような割合で投入するか決めます。
1%単位で細かな設定が可能です。
保険料の払い込みが一時払いのケースを除き、一度設定した比率は、保険料払込期間中ならいつでも変更可能です。
投資に自信があるなら、ご自分で色々決めても良いでしょう。
しかし、投資に関して初心者の場合は、保険担当となるライフプランナーのアドバイスを聞いてから、繰入比率を決定した方が無難です。
「変額個人年金保険」をシミュレーション
こちらでは「変額個人年金保険」の受取年金額・受取率の推移をシミュレーションしてみます(運用実績がそのまま推移したと仮定)。
(例)10年確定年金の場合
- 契約年齢:35歳男性
- 年金受取開始年齢:60歳
- 月払保険料:20,550円
- 基準年金額:100万円
- 運用実績:3.5%
解約返戻金の場合
(1)月払・保険料払込期間60歳まで
経過年数(年齢) | 払込保険料累計額 | 解約返戻金額 | 解約返戻金率 |
3年(38歳) | 73万円 | 61万円 | 約83.5% |
5年(40歳) | 123万円 | 114万円 | 約92.6% |
15年(50歳) | 369万円 | 431万円 | 約116.8% |
25年(60歳) | 616万円 | 869万円 | 約141.0% |
(単位:万円未満は単数切り捨て)
運用実績が3.5%のままで推移すれば、解約返戻率が140%を超えるケースも期待できます。
(2)一括払
経過年数(年齢) | 払込保険料累計額 | 解約返戻金額 | 解約返戻金率 |
3年(38歳) | 414万円 | 437万円 | 約105.5% |
5年(40歳) | 414万円 | 464万円 | 約112.0% |
15年(50歳) | 414万円 | 633万円 | 約152.8% |
25年(60歳) | 414万円 | 869万円 | 約209.9% |
(単位:万円未満は単数切り捨て)
一括払いの場合、運用実績が3.5%のままで推移すれば、わずか3年程度で中途解約しても、返戻率105%を超えるお金が受け取れます。
10年確定年金の場合(保険料累計額615万円・一時払414万円)
(1)月払・保険料払込期間60歳まで
事例の場合、月払ならば次のような年金額・受取率となります。
受取回数 | 年金額・受取率(%) |
第1回目 | 100万円 |
第2回目~第9回目 | 800万円 |
第10回目 | 100万円 |
総額 | 1,000万円 |
受取率 | 162.6% |
運用実績3.5%のままで推移し運用された場合、毎年100万円が受け取れ、総額1,000万円・受取率は162.6%となります。
(2)一括払
事例の場合、一括払ならば次のような年金額・受取率となります。
受取回数 | 年金額・受取率(%) |
第1回目 | 100万円 |
第2回目~第9回目 | 800万円 |
第10回目 | 100万円 |
総額 | 1,000万円 |
受取率 | 241.4% |
運用実績3.5%のままで推移し運用された場合、毎年100万円が受け取れ、総額1,000万円・受取率は241.4%となります。
ただし、運用実績が悪ければ、ご自分の予想を大幅に下回る年金額となる点へ注意が必要です。
「変額個人年金保険」の注意点
保険のドリル読者
そこで「変額個人年金保険」へ加入する前に気を付けるべき点を教えて欲しいです。
松葉 直隆
リスク分散はできるけれど
「変額個人年金保険」は、前述したように8種類の特別勘定が選べます。
これらの勘定を複数組み合わせることで、リスクを分散する効果が期待できます。
しかし、投資先の国・企業に関して、どこであっても不安定要素を持っている点は理解しておきましょう。
例えば海外市場なら、戦争、クーデター、大規模テロ、重大な環境破壊が原因で、経済が混乱し投資運用に悪影響を及ぼす可能性もあります。
また、日本国内の場合は自然災害による混乱も無視できません。
単純に国内・海外市場の景気の状況のみを把握して置けば、資産運用に問題ないというわけではないのです。
そして、最近では新型感染症で世界中が大混乱に陥っています。
全世界で死者数が100万人となり、そのうち経済大国のアメリカは死者20万人を突破、南米・インドでは感染者の拡大に歯止めが関わらず、ヨーロッパでは第二波で再び感染者が激増しています。
このように人的被害はもちろん、物流も人的交流も極めて制限された状況下で、投資運用で利益の増進を図れるのか、今一度よく考えてから加入手続きを行いましょう。
どの様な費用が掛かる!?
「変額個人年金保険」へ加入する前には、前述したリスクの他、運用することになる各特別勘定からの控金額、信託報酬の存在も、忘れずにチェックしなければいけません。
各特別勘定から控除される金額
各特別勘定の控除額は毎年変動することになります。
2019年度の控除額を見てみましょう。
特別勘定 | 割合 |
株式型 | 0.0381% |
日本成長株式型 | 0.0199% |
世界コア株式型 | 0.0199% |
世界株式型 | 0.5469% |
債券型 | 0.0199% |
世界債券型 | 0.0262% |
総合型 | 0.0272% |
短期金融市場型 | 0.0199% |
信託報酬
なお、投資信託の場合は信託報酬が更に控除されます。
2020年3月末現在の信託報酬(年率・税込)は次の通りです。
(1)株式型
- 日経225連動型上場投資信託(野村アセットマネジメント株式会社):0.264%以内
- iシェアーズ・コア日経225ETF(ブラックロック・ジャパン株式会社):0.1155%
(2)日本成長株式型
- フェデリティ・日本成長株・ファンドVA3連絡機関投資家専用(フェデリティ投信株式会社):0.968%
(3)世界コア株式型
- ワールドエクイティ・ファンドVL連絡機関投資家専用(ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社):0.22%
(4)総合型
- 日経225連動型上場投資信託(野村アセットマネジメント株式会社):0.264%以内
- iシェアーズ・コア日経225ETF(ブラックロック・ジャパン株式会社):0.1155%
必ずライフプランナーに相談を!
「変額個人年金保険」の申込希望者によって、どのような特別勘定を組み合わせ運用するかは人それぞれです。
そこで、ソニー生命は一人一人に合わせたベストな組み合わせを目指し、生命保険・金融等の知識に精通した専門家がアドバイスする【ライフプランナー制度】を設けています。
ライフプランナーは頼もしいサポート役
このライフプランナーは、独自の徹底した教育・訓練を受けた、保険専門の担当者です。
ライフプランナーは、申込希望者一人一人に合わせたアドバイス、変額プランの設計、保険金支払の手続もサポートする等、契約者(被保険者)のサポート役となります。
また、保険の見直しやいろいろな疑問・質問へも気軽に答えてくれる頼もしい存在です。
特に「変額個人年金保険」のような商品へ加入する場合は、ライフプランナーへ疑問点・不明点を忘れずに相談し、そのリスクをしっかり把握する必要があります。
ライフプランナーに聞いても仕組みが良くわからないなら
ただし「変額個人年金保険」の仕組みは複雑です。
説明を受けても『仕組みがやはり理解できない』『リスクがあまりにも大きすぎる』と感じたら、「変額個人年金保険」の加入は見送る方が無難です。
「変額個人年金保険」で大きな利益を得るにしても、大損失を被るにしても、結局は契約者(被保険者)の自己責任となります。
「変額個人年金保険」の仕組みを理解し、リスクも十分納得した上で申し込みを行いましょう。
確定拠出年金の仕組みとメリット・デメリット
保険のドリル読者 この確定拠出年金の特徴も教えて欲しいです。
松葉 直隆
こちらも私的年金!?
確定拠出年金とは、加入者自身が資産を運用し受け取れる年金額がそれぞれの運用次第で異なって来る私的年金です。
なお【iDeCo】とは確定拠出年金の愛称を指します。
確定拠出年金は【国民年金基金連合会】【信託銀行】【証券会社】が運用する金融商品です。
確定拠出年金は、個人型・企業型の大きく2種類に分かれます。
個人型は個人で掛金を拠出し運用する仕組みです。
一方、企業型は労使合意に基づき確定拠出年金制度が実施されます。主に会社から掛金が拠出されます。
確定拠出年金の運用は投資信託、定期預金等で行われます。
元本保証は無いものの大きな利回りを望むなら【投資信託】で、大きな利回りは期待できませんが損失の回避を望むなら【定期預金】で、運用していくことになります。
確定拠出年金はどんな仕組み?
確定拠出年金を申し込む場合は、取り扱っている銀行等の金融機関で口座を開設します(1人1口座)。
選んだ金融機関から申込書類を取り寄せ、手続きを進めます。
書類が金融機関から受理されるのは数週間程度となります。
運用するご本人、金融機関の準備が整えばいよいよ運用開始です。
確定拠出年金(個人型)の拠出限度額は、職業によってそれぞれ異なります。
- 自営業、学生等(第1号被保険者):月額6.8万円(年額81.6万円)
- 専業主婦等(第3号被保険者):月額2.3万円(年額27.6万円)
- サラリーマン等(第2号被保険者):月額1.2万円(年額14.4万円)~月額2.3万円(年額27.6万円)
- 公務員等共済加入者(第2号被保険者):月額1.2万円(年額14.4万円)
その後、確定拠出年金はご自分が60歳になるまで運用することとなります。
確定拠出年金のメリット・デメリット
こちらでは、確定拠出年金のメリット・デメリットについて解説しましょう。
確定拠出年金のメリット
確定拠出年金は節税効果が極めて高い点が注目されます。
その積み立てた掛金全額が所得控除の対象となるのです。
とはいえ、年末調整または確定申告で申告しないと、所得税・住民税が軽減されないので気を付けましょう。
更に、運用中に得た利益はずっと非課税です。
確定拠出年金は、長期にわたりその利益を再投資することができ、大きな複利効果が期待されます。
そして60歳以降になると、①一時金、②年金、③一時金・年金両方の3形式で受け取ることができます。
この3形式いずれを選択しても税金の優遇措置が受けられます。
一時金で受け取るなら【退職所得控除】が、年金形式なら【公的年金等控除】が適用されます。
また、確定拠出年金の掛金は毎月5000円以上と定められ、1000円単位で金額を設定できるので、無理なく運用が継続できます。
確定拠出年金のデメリット
ただし、積み立てたお金は原則60歳からしか受け取れないこと、口座開設・維持に、個人型確定拠出年金に加入する際は2,777円~、運用期間中なら月額167円~と、手数料が発生する点に注意しましょう。
また、前述したように確定拠出年金(個人型)の拠出限度額は、職業によってそれぞれ異なるので、自分で自由に設定できないことが難点です。
変額個人年金保険と確定拠出年金を比較
保険のドリル読者
そこで、変額個人年金保険と確定拠出年金の特徴の違いを知りたいです。
松葉 直隆
変額個人年金保険と確定拠出年金を比較
変額個人年金保険・確定拠出年金双方を併用しても、もちろん構いません。
しかし、家計に重い負担となるのは避けた方が良いでしょう。
こちらでは、変額個人年金保険・確定拠出年金の特徴を比較してみます。
比較項目 | 変額個人年金保険 | 確定拠出年金 |
掛金 | 保険会社所定の範囲でいくらでも設定可 | 職業によって拠出限度額あり |
投資商品 | 投資信託 | 投資信託・定期預金・保険 |
運用方法 | 複数商品加入か | 1人1口座 |
受取年齢 | 自由に設定可 | 原則60歳 |
解約 | 自由 | 極めて制限される |
節税 | 限定的 | 極めて有効 |
このように、変額個人年金保険・確定拠出年金共に一長一短はあります。
これらの特徴を比較しながら、ご自分に合っている運用方法はどちらかを見極めましょう。
税制上の優遇措置なら確定拠出年金が有利
前述したように確定拠出年金は節税効果の極めて高く、積み立てた掛金全額が所得控除の対象となります。
一方、個人年金保険は変額個人年金保険であっても、節税効果は確定拠出年金と比べ決して高いと言えません。
個人年金保険で払い込んだ保険料は【生命保険料控除】として、やはり確定拠出年金と同様に申告すれば、所得税・住民税控除の対象となりますが、控除額は最大で年間4万円しか節税となりません。
また、個人年金保険は【個人年金保険料税制適格特約】が付加されていれば、単独で生命保険料控除の一つである【個人年金保険料控除】枠が利用できます。
もし、その条件に該当しなくても【(一般)生命保険料控除】の枠は使えますが、他に加入している死亡保険等と重複する可能性もあります。
大きな税制上の優遇措置を期待するなら、確定拠出年金を選んだ方が良いでしょう。
変額個人年金保険は柔軟性が高い?
変額個人年金保険は他の個人年金保険と同様に、ご自分を取り巻く経済環境や、ライフステージの変化等へ柔軟に対応できます。
変額個人年金保険は、受取開始年齢を自由に設定できることはもちろん、中途解約も契約者の任意で行えます。
ご自分が急に資金を必要とするなら、資産運用している変額個人年金保険を中途解約し、解約返戻金を受け取っても構いません。
しかし、確定拠出年金は、原則60歳から積み合てたお金の受取が開始されます。
受取年齢を60歳未満にすることはできません。
また、確定拠出年金を中途解約するには、次のやむを得ない事情が必要となります。
①脱退一時金を受ける場合(5つの要件を全てに合致)
- 国民年金の第1号被保険者で、年金の全額免除もしくは一部免除、納付猶予を受けている人
- 確定拠出年金の障害給付金受給権者ではない人
- 通算拠出期間が3年以下、もしくは個人別管理資産が25万円以下の人
- 企業型確定拠出年金・個人型確定拠出年金の加入者資格を喪失した日から2年以内にあたる人
- 企業型確定拠出年金で脱退一時金を受けていない人
②確定拠出年金加入者がケガ・病気で障害を負った場合(ただし、極めて例外的な措置)
③確定拠出年金加入者が死亡した場合(遺族が死亡一時金を受け取れる)
契約者の都合のみで中途解約できる個人年金保険と比べて解約の条件は厳しくなっています。
事情の変化に応じ柔軟な対応することを望むなら、変額個人年金保険を選んだ方が無難です。
いろいろな投資を行う前に
保険のドリル読者 その特徴をよく確認して選びたいです。 ただ、私は安全な資産運用も行っていきたいです。 松葉 直隆
もっと安全な資産運用もある?
変額個人年金保険も確定拠出年金も運用実績が良好なら、契約者は大きな利益を得ることができます。
しかし、双方とも元本保証は無く運用実績が悪ければ、払い込んだ掛金より受け取るお金が少なくなる元本割れの発生リスクもあります。
ご自分の老後を豊かに、ゆとりを持った生活を送るための資産運用で大きな損失が発生したのでは、何ためにお金を積み立ててきたのか途方に暮れることでしょう。
そのため、ハイリスク・ハイリターンとなる商品の他に、利益はそんなに高くないものの、堅実な資産運用ができる金融商品・保険商品の活用も視野に入れておきましょう。
次項では、定期預金そして円建て個人年金保険の活用を取り上げます。
定期預金は検討した?
定期預金は、1ヶ月~最長10年まで期間を選んで口座開設する金融商品です。
この定期預金なら元本割れは発生しません。
そのため、元本割れのおそれのある変額個人年金保険または確定拠出年金を検討するならば、余裕資金の確保のためにこちらの運用も考えるべきでしょう。
定期預金は商品ごとの差があるものの、利率は年0.100%~0.250%程度となります。
ただし、定期預金は原則として中途解約が認められません。
解約するやむをえない理由があるなら、当初の利率は下がるものの解約が可能です。
円建て個人年金保険も工夫次第で高い受取率
円建て(定額)個人年金保険では、十分な資産運用が難しいと感じる方々も多いようです。
しかし、次のような工夫や保険商品の活用を考えてみましょう。
一括払・全期前納は有効
個人年金保険に限らず終身保険や養老保険等、貯蓄性の高い商品は保険料払込回数を制限すれば返戻率(受取率)は高まります。
つまり、月払よりも半年払・年払にした方が1回で払い込む保険料は大きくなるものの、保険料総額を軽減させることが可能となります。
その分、受け取れるお金は増加します。
とするならば、申し込みを検討する個人年金保険が、一括払・全期前納を選べるかどうかよく見てみましょう。
一括払とは保険会社との契約の際、文字通り保険料全額を払い終える方法です。
この方法なら1回で払い込む保険料は巨額となりますが、長期の払込期間を設定し保険料をコツコツ払い込んでいくより安上がりとなります。
また、全期前納ならば払い込む保険料全額を保険会社に【預ける形】となります。
そして、保険会社は預かったお金を月払または年払と言う形で差し引いていきます。
こちらの場合、年払で納めるよりは保険料負担が軽減されます。
このいずれかの払込方法を利用することで、円建て(定額)個人年金保険であっても更なる戻率UPが期待できます。
生存保障重視型個人年金保険とは?
生存保障重視型個人年金保険とは、とんちん年金ともいわれている個人年金保険の1種です。
被保険者が死亡した場合の死亡給付金等が制約されるものの、被保険者が長生きすればするほど高い受取率を約束された商品です。
日本人が長寿となったことに対応した、新たな個人年金保険として注目されています。
生存保障重視型個人年金保険(とんちん年金)は、各保険会社から続々と販売されており、契約年齢は50歳から加入できる商品が多いです。
契約内容や被保険者がどれくらい長生きできたかにもよりますが、受取率は約130%~150%が期待できます。
健康に自信のある方々は、生存保障重視型個人年金保険(とんちん年金)の運用も検討してみましょう。
まとめ
変額個人年金保険も確定拠出年金も、長所・短所はそれぞれあります。
受取率や利益ばかりではなく、運用する上での制約やリスクもしっかり把握してから、申し込みを検討しましょう。