こんにちは、トイアンナです。
私が20代だったころの金融リテラシーは、ゼロに近かったと思います。
保険の営業販売員なら誰でも取らなくてはいけない証券外務員試験二種という資格があるのですが、このテキストを読むだけで四苦八苦するくらいのダメっぷりでした。
どれくらいダメか知りたい人は、周囲の保険販売員や銀行でお勤めの方に
保険のドリル読者
と言ってみてください。
多分、道端のウンコの方がまだ優しい目で見てもらえるだろう、くらいの目を見せてくれます。
ウンコより大事にされたい人は、証券外務員二種を勉強しましょう!
……という話は半分マジで、これくらい知らないと適当に投資や保険契約をしてしまうことになるレベルの試験です。
相手(保険や投資銀行員)の手の内を知る意味でも役立つ知識となります。
騙されたと思って、本屋でテキストをパラ読みするくらいはしておいてください。
(賢い人は証券外務員一種にチャレンジしてもいいですが、そこまでいくと金融業界への転職対策っぽくなるのでお任せします)
本題に戻ると、金融リテラシーがないと「詐欺に近い投機商品」と「堅実な積立」の違いもわかりません。
このままだと怪しい”伝説の投資家〇〇が勧める、1年で1億円を作るサービス”なんていうビカビカした広告ページか、堅実そうな外観か……あるいは大手証券会社か、見たこともない社名か……などなど、表層的な部分で投資判断をしてしまいそう。
これでは株主還元に釣られて割高な株を買う人間と変わりません。
私は、いつかカモられるでしょう。
そんな危機意識から、金融業界の友人に頼んで本をかたっぱしから紹介してもらい、1年くらい勉強しました。
おかげで「自ら茹でられに来るカモ」から「疑い深いカモ」には進化できたと信じたいです。
そこで、保険で最低限これは知っておきたいド基礎として、当時の自分が理解できていなかった“掛け捨て”と”積立”の違いをご案内いたします。
繰り返しますが、私は「疑い深いカモ」くらいの人間なので、実際にどんな商品がいいかはお伝えできません。
ネットで資格もないのに「これが絶対もうかる保険だ」なんて言ってる人は信頼しないでください。
ちゃんとした知識は、たいてい有料です。
自分で専門家や書籍にお金を払って相談してください。
特に保険は生涯を通じて考えると結構な額を使う商品で、ものによっては元本(自分が払った金額)も保証されません。自分でよく調べてから契約すると約束してくださいね。
保険=掛け捨てと誤解していませんか
私が何も知らなかったころ、保険はすべて掛け捨て型だと思っていました。
つまり、お金を払っている期間だけ入院や通院費が保障され、それ以外はカバーしてもらえないのが保険の「すべて」だと思っていたのです。
「積立」という単語を聞いても、
と思っていました。
そのため、契約するときも掛け捨てを選んでいました。
ですが、この世には「コツコツ払った額を保険会社が投資して増やし、ある年齢になるとお金が戻る商品」なるものが存在していたのです。
それが、貯蓄型の保険。
契約期間の保険料も支払ってもらえる上に、満期(一定の年齢)になると、保険会社が投資で増やしてくれたお金を一括で振り込んでくれたり、年金として分散して戻してくれるのです。
私が貯蓄型の存在を知ったのは、保険の担当者が「こんなのもありますよ」と送ってきたペライチのリーフレット。
それまで存在すら知らなかったので、
とキレそうになりました。
担当者も、まさか貯蓄型も知らないホモサピエンスがいるとは思わなかったんでしょう。
サーセン、こちとら道端のウンコなんで……。
掛け捨て型にもいいところはあります
前段で掛け捨て型をコケにしてしまいましたが、もちろん掛け捨てにもいいところはあります。
まず、保険料が安い。
貯蓄型は将来の自分に利率を還元するわけですから、普段から払う金額も高くなります。
あくまで私が立てた見積ですが、掛け捨てと貯蓄ではこれくらいギャップがありました。
掛け捨て型の支払い例(30歳・女性)
・月5,000円で入院・手術をかなり保障
・月1,000円でがん・先進医療・女性特有の疾病を保障
・月3,000円で働けなくなったときの生活費を生涯保障
合計:8,000円/月
掛け捨て型なら月5,000円から契約でき、8,000円も払えばかなりの保障をつけられたわけです。
葬儀代さえ気にしなければ、これだけで安心できる人は多いのでは。
きちんとした会社に勤めて入院費等の福利厚生があるなら、保険で受け取る額はそのまま懐にしまえます。
入院でも個室は1日5,000円くらいかかったり、テレビを見るだけでテレビカード代がかかったりするので、いざというときには心強いものです。
貯蓄型の支払い例(30歳・女性)
・月5,000円で入院・手術をかなり保障
・月25,000円払って、65歳時点で1,400万円を受け取れる
その前に死亡した場合は、300万円を指定したひとへ渡せる
合計:30,000円/月
貯蓄型は合計30,000円と、掛け捨て型とヒトケタ変わります。
代わりに老後への積立要素が出てくるのが見えるでしょうか。
私が掛け捨てしか知らないときにこの見積を出されたら、
と、日本昔ばなしに出てくる山姥みたいな口調で反論したことでしょう。
月に万単位の積立をする余裕がない時期に、それでも体の保障はしたい……。
なにより会社がブラックで、社会保険にすら加入していない(違法)なんてときには、医療保険もバカにできないんじゃないでしょうか。
私はフリーランス(=会社員なら年1回受けられる、健康診断がない)、運動する習慣もゼロ、好きな食べ物は脂っこいものときています。さらに貯金が下手で、預金から自動引き落としじゃないと入院費も貯められない。こういうタイプには、掛け捨てでとりあえず心身に安心感をくれる掛け捨て保険は、大変ありがたいものです。
貯蓄型は「投資」として理解する
貯蓄型の保険は「生命保険」というパッケージに入っていることが多いので「私には家族もいないし」とおひとりさまが敬遠しがち。ですが実は、満期(デフォルトは65歳に設定する会社が多いですが、自分で変えられます)になると保険会社が増やしたお金を返戻(へんれい)してくれる貯蓄型が多いので、じっくり見てください。
つまり、貯蓄型の生命保険とは、
× 満期で死なない限り受け取れない、イチかバチかの保険
〇 満期歳前に死んだらお金を誰かに渡せる上に、満期で返戻がある
という仕組みのものが多いのです。
65歳までに死ぬひとはあまりいないので、お金を受け取る可能性が高いのは自分。終身で掛け捨てを検討するくらいなら、満期で返戻がある貯蓄型の生命保険を勧める専門家が多いのはこのためです。
ただし、貯蓄型の保険がもつ最大のデメリットは「元本割れ」です。貯蓄型の保険とは、自分が投資したお金をコツコツ保険会社が取引して増やしてくれる仕組み。短期で解約されると投資も大して稼げないので、一定年数以内に解約すると、払った額より少ない額が返戻されます。
しかも保険会社は「満期で支払う」前提で投資をするため、わりとコンサバな投資をします。私はわりと手堅い投資信託を別で買っていますが、それよりも保険の利率はかなり低め。支払いが前提になっているのだから当然です。
私は5社で見積りをしましたが、元本割れしている期間は最低でも5年でした。つまり、貯蓄型の保険は何年も、あるいは何十年も契約する前提で決めるものなのです。
無理に背伸びした額で積立を始めると、ライププランが狂ったときに元本割れした額で解約せねばならないかもしれません。さらに、1社で契約してから他社へ乗り換えるといった保険の見直しでは、元本割れを覚悟せねばなりません。
掛け捨て契約なら「まあ、これまでの安心料ってことで」と納得いくかもしれませんが(私はできませんでしたが……)月に何万円も貯蓄型の生命保険へ支払っておいて、他社へ切り替えるのは結構な痛手です。貯蓄型の保険はあくまで「自分が無理のない額で契約する投資」だと思っておくべきでしょう。
恋愛・就活ライター
トイアンナ
これまでに受けた人生相談は1,000件以上。
その相談実績と、慶應義塾大学卒業後、外資系企業でマーケターとして活躍した経験をもとに2015年に独立。
恋愛・就活ライターに。
現在は複数のメディアに恋愛コラムや就活のハウツーを説く連載を寄稿する他、就活イベントでの講演・ライター育成講座への登壇・テレビ(NHK他)の取材協力など、幅広く活動する。
書籍:『確実内定』(KADOKAWA)『モテたいわけではないのだが』(イースト・プレス)『恋愛障害』(光文社)
過去出演番組:『おしゃべりオジサンとヤバイ女』(テレビ東京系)『最上もがのもがマガ!』『Wの悲喜劇』(AbemaTV)
Twitter:@10anj10