絶対毒親に相続させないための完全マニュアル。私が実際に準備して分かった2つのこと(トイアンナ)

トイアンナ:毒親・浪費家…身内に敵がいる方へ:愛する人へ遺産を渡すなら生命保険を使いこなせ

恋愛・就活ライター

トイアンナ

 

これまでに受けた人生相談は1,000件以上。その相談実績と、慶應義塾大学卒業後、外資系企業でマーケターとして活躍した経験をもとに2015年に独立。恋愛・就活ライターに。

現在は複数のメディアに恋愛コラムや就活のハウツーを説く連載を寄稿する他、就活イベントでの講演・ライター育成講座への登壇・テレビ(NHK他)の取材協力など、幅広く活動する。

書籍:確実内定』(KADOKAWA)『モテたいわけではないのだが』(イースト・プレス)『恋愛障害』(光文社

過去出演番組:『おしゃべりオジサンとヤバイ女』(テレビ東京系)『最上もがのもがマガ!』『Wの悲喜劇』(AbemaTV

Twitter@10anj10

家族を「敵」呼ばわりなんて、中々できない。

たとえば、長年私は母と対立してきた。だが、それでも100%敵だとは思えない。

私を愛そうと努力はしてくれたと思っている。だが、相続の上では「敵」になるかもしれない

私の母はスピリチュアルな人だ。

普通の占いにハマっているだけならいいが、自分に神が憑いていると信じ、自除霊や祈祷に邁進している。

自宅には信者が集まり、そこで聖水を配ってもいる。

私が独身のまま死んだら、両親が遺産を相続できる。そうすれば私の貯金はあっという間にスピリチュアルな用途へ消えていくだろう。

「死んだ後に金がどう使われようが文句言うなよ」というセルフツッコミもできるが、数珠や水晶に消えるのならば私はなぜ働いているのだろう……と虚しくなる。

うっかり献金者として石碑に名前でも刻まれた日には、祟って出るぞ。……という、私のシチュエーションなどマシな方。

もっと激しく親兄弟を憎む方もいるだろう。私は自分の相続に悩みすぎて、いっとき終活関連の資格まで取得した。

そこでの学びを活かし、「愛する人へ確実に遺産相続するコツ」を提供できればうれしい。

遺書を書いても「遺留分」でお金を取られてしまう

遺産相続で普通の人が真っ先に思い浮かべるのは「遺書」だろう。

だが、日本の法律では遺書で「100%の遺産を〇〇さんへ渡します」とは指定できない

親族が遺書の言葉を無視してでも、最低限の遺産を受け取れる遺留分という制度があるからだ。

たとえば、自分が未婚のまま死んだとする。あなたの父・母はそれぞれ全財産の1/6ずつを相続できる。

パートナーと子どもがいれば、パートナーは1/4、子どもは残りの1/4を分け合う遺留分を請求できる

相続で遺書が全部無視されるわけではない

といっても、遺留分として請求できる範囲は決まっているため、遺書をすべて無視されることにはならない。

しかし、「全額2人目の息子に渡すつもりで遺書を書いたから、勘当した長男にはもうお金が入らないはずだ」と思っても、その通りにはいかないという点は押さえておきたい。

どんなにあなたが憎んでいる相手へも、近しい親族なら遺産はわたりうるのだ。

*長年顔を合わせてもいない従兄弟など、遺産が配分されない親族関係もある。

詳しくは「法定相続人」をご覧ください▼。

法定相続人とは、民法で定められた相続人のことをいいます。

被相続人の配偶者は常に相続人となります。

第一順位の相続人・・・

被相続人に子がある場合には、子と配偶者が相続人となります。ただし、子が被相続人より先に亡くなっている場合等は、直系卑属(孫・ひ孫等)が相続人となります(=代襲相続)。

第二順位の相続人・・・

被相続人に子およびその直系卑属がない場合等は、直系尊属(父母・祖父母等)と配偶者が相続人となります。

第三順位の相続人・・・

被相続人に子およびその直系卑属がなく、直系尊属も死亡している場合等は、兄弟姉妹と配偶者が相続人となります。ただし、兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっている場合等は、その者の子(甥・姪)が相続人となります(=代襲相続)。

※下位順位の者は、上位順位の者が死亡や相続放棄等をしない限り相続権はありません。例えば、子が被相続人の財産を相続する場合、被相続人の直系尊属や兄弟姉妹には相続権はありません。
※配偶者が被相続人より先に亡くなっている場合には、配偶者以外の相続人がすべての財産を相続します。

SMBC日興証券HPより抜粋

遺留分に入らないのが生命保険

「遺留分」があると、たとえば1億円を遺しても安心して成仏……というわけにもいかない。

そこでお勧めしたいのが、まとまった額の遺産を渡したい相手を受取人にして、生命保険をかける方法だ。

生命保険は遺留分として請求できる遺産の対象外となっており、原則として契約時に受取人として指定した相手へ全額支給される。

生命保険なら誰に・いくら渡すかコントロールできるのだ。

たとえば、あなたに「毎月5万円」貯金する習慣があったとしよう。これをコツコツ40年続ければ2,400万円になる。

この2,400万円は、そのままだと遺留分として一部を遺された家族が請求できてしまう。

しかし、代わりに「毎月3万円の貯蓄と、2万円の生命保険」に切り替えたら……とある保険会社でシミュレーションしたところ、1億円以上遺せる試算が出た

まとまった額を、望んだ相手に確実に残すなら生命保険は最強である。

あまりに生命保険に相続を偏らせると遺留分になる恐れも

ただ、「親には500万円、兄には1億円」のようにあまりの不公平があると、遺留分に含められる可能性が出てきてしまうらしい。

また、富裕層でもない限り月2万円を死亡後の保険金「だけ」にかけるのは保険金詐欺の疑いまでかけられそうだ。

したがって、受取額には根拠を用意したほうがいい。

たとえば、私は家族の1人を生命保険の受取人に指定している。これはその家族が「いざとなったら私を介護する」と言ってくれているからだ。

そこで「介護にかかりそうな金額+プラスアルファ」くらいを受取額に指定した。また、法的にちゃんと効力のある遺書を作成し、生命保険の額と理由についても触れている。

金額に根拠がある&遺書で理由を説明しておくと、いざ他の親族が遺産をめぐって姉を訴えても、訴訟をはねのけやすくなる。

贈る金額の根拠をしっかり文章に残しておくことは、受取人を守ることにもつながるので遺書は絶対に書いておきたい。

遺書には法的に効力を持たせるための条件があるので、適当にエモエモしいお手紙をしたためて満足しないように。

また、ドル建ての保険では日本円で受け取れる額が変わってしまうリスクがあったり、保険会社が破綻してしまうと満額相続が難しくなったり、生命保険には確認すべきポイントが山ほどある

さすがにいないと思うが「生命保険さえあれば相続は安心」と考えて積み立てている貯金を全額生命保険に振り切るようなマネはくれぐれもしないように……。

第三者を相続人に指定できない保険会社もある

各種生命保険のうちどれがいいかは、別途調べていただくとして……。身内に相続させない観点から見ていただきたいのは、「第三者を受取人に指定できるか」という点だ。

生命保険の受取人は原則として親族になるので、「長女を受取人にしたい」などはどの保険会社でも通りやすい。

一方、「自分を介護してくれた友人」「法律婚をしていないパートナー」などは指定できる場合とできない場合がある

契約後に「それは無理です」となっても手遅れなため、親族以外にお金を渡したい人は、必ず契約前に受取人を第三者へ指定できるか確認しよう

また、その際に「これは闇金への返済のために泣く泣く契約させられている生命保険じゃなくて、本当にこの人に恩義があって遺したいんです」と説明する手間は発生する。

第三者を受取人に指名するとき、保険会社が渋い顔をするのは生命保険で借金返済をさせたり、ヨボヨボになった家族へ無理に契約させ、生命保険を狙う親族が後を絶たないからだ。

そのぶん手続きは面倒になるが、頑張って乗り越えよう。

生命保険を通じて第三者が相続するデメリットは「非課税枠」

また、生命保険の受取人が第三者の場合は死亡保険金の非課税枠が使えない。

なんじゃそら?と思った方のために説明すると、もともと法律上相続の権利がある人(法定相続人)には「これくらいまで相続税を払わなくていいですよ」という非課税枠がある

しかし、第三者にはそれがないので、相続税をがっつり取られる。

その点は、最初からふまえて受取額を計算していただきたい。

その他、遺産相続で遺留分の対象外になるもの

私は詳しく調べていないが、その他にも死亡退職金や代償財産は遺留分の対象外となる。

私は……退職金をもらえるような立派な職歴がないので……。

立派な会社に勤めている方は、一度自社の制度に死亡退職金がないかチェックしてみてほしい。

その他「代償分割」や「相続財産からの果実」など遺産相続中の手続き上の理由で生まれたお金の動きは、一部遺留分の対象外となる。

だが、これらを生きているうちにコントロールするのは難しいため「愛する人への遺産を遺す」観点からは今回語らない。

遺産を相続させたい相手を親族から守るための防止策

この記事は、身内に遺産相続上もめそうな「敵」がいる場合の対策だ。

そこまで害のある家族なら、たとえ法律上は不利でも「アイツひとりだけ多く遺産を受けとるなんて許せない。いま精神的に攻撃すれば、アイツは心が弱いから相続を放り出すだろう」とあなたが遺産を渡す相手を攻撃することも予想される。

その攻撃から家族を守るためにも、まずは遺産を生命保険で遺したいことを、受け取る人には伝えておこう

何も知らせずにサプライズで数千万円以上も相続してしまうと、その人が親族中から攻撃されて、かえって精神的に参ってしまう。

最初から「私はあなたに生命保険で遺産を遺したい。そのせいでいちゃもんを付けてくる親族もいるかもしれないけれど、あなたを守るためのお金だから受け取ってほしい」と相談しよう。

遺書は最大の盾になる

冒頭にも少し書いたが、「遺書」はしっかり残そう遺書は、受取人を守る盾となる

遺書があれば、「確かに故人は私へ生命保険で〇〇万円を遺したいと言っていました!」と証明できるからだ。

揉めることが想像できるなら、公証役場でつくる「公正証書遺書」で確実な記録を残そう。

自筆の遺書でも条件を満たせば法的に効力は生まれるが、公証役場で保存される公正証書遺書ほどではない。

公正証書遺書は手続きが面倒なためホイホイ内容を変えられないデメリットはあるものの、確実に愛する人を親族から守るなら公正証書遺書にしたほうがいい。

もし遺族が攻撃してきたら……スラップ訴訟対策

と……ここまで準備をしても攻撃してくる親族はいる。スラップ訴訟は、その一例だ。

スラップ訴訟とは、「私のいうことを聞かないと訴訟を起こすぞ、面倒だろう、怖いだろう。嫌なら言うことを聞くんだ」と、恫喝を目的にした訴訟のこと。

だから相手は十中八九負けるとわかっていても、遺産相続をめぐり訴訟を吹っ掛けてくることがある。

訴訟になると弁護士費用も必要なうえ係争が長期化するため、受取人のメンタルがやられてしまい「もういいです、遺産はいりません」とせっかく残した生命保険も手放させかねない。

そこで事前にスラップ訴訟のリスクを見越して、弁護士とのつながりを作っておいたほうがいい。

「そこまでする?」

と、思うかもしれない。

が、そこまでするくらいの親族が周りにいるからこそ、あなたは相続で悩んでいるはずだ。

事前に弁護士へ相談しておけば、訴訟手前の段階(だいたい内容証明郵便という、送付した記録が残る郵便で「私はあなたのこれが許せない。このまま行ったら訴えるから」といった内容の文章が送られてくる)で、相手をはねのける術がわかる

弁護士は初回相談がお得な金額に設定されているケースも多いので、周辺で相続に強い弁護士を見つけて「かかりつけ弁護士」にしておこう。

そして、受取人にも弁護士へ相談するよう連絡先を渡しておこう

愛する人に、遺産を渡すのは簡単ではない。けれど、それでも遺したいものがあるなら、受取人に防御策を渡しておこう

お金を【奪われた】と考える親族に攻撃させないために。

そして、愛する人が平穏な暮らしを手に入れられるように。

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