終身保険とは本来、契約者(被保険者)が死亡した場合、受取人(遺族)へ保険金が確実に下りる死亡保険を指します。
一生涯にわたり死亡保障が受けられるので、一度契約すれば、契約者(被保険者)本人そして家族も大きな安心が約束されます。
しかし、終身保険は一生涯の死亡保障だけではなく、貯蓄目的にも役立つ一面があり、この仕組みを利用すれば効率的な資産運用が期待できます。
そこで今回は、貯蓄に役立つ終身保険の仕組みやメリット・デメリットと、貯蓄性の高い【低解約返戻金型終身保険】【外貨建て終身保険】の強みやリスクも併せて解説しますので、保険で貯蓄を考えている方は参考にして下さい。
- 終身保険が貯蓄代わりに使われる理由
- 終身保険を貯蓄として使うメリット・デメリット
- 主に使用される2種類の保険商品の特徴と注意点
- 保険の新規加入や見直しを検討するなら、相談員の約97%が国家資格であるFPの資格を所持している「ほけんのぜんぶ」で無料で相談することをおすすめします。
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目次
終身保険は貯蓄にも活用できる!?
保険のドリル読者
保険のドリル読者
松葉 直隆
終身保険の仕組み
終身保険は、一度有効に契約が成立すれば中途解約するか、被保険者が亡くならない限り一生涯の死亡保障が約束されます。
つまり、終身保険は確実に保険金が受取人(遺族)へ下りる死亡保険です。
また、一度契約すれば、契約当時の保険料から一切値上げされることはありません。
そのため、若いうちに保険契約をすれば、保険料負担が少ない状態で保障を継続することができます。
終身保険の保険料払込期間
保険料払込期間は次の3種類があります。
- 終身払:一生涯にわたり保険料を払い込む方法、1回分の保険料負担は軽い。
- 年払済(年満了):10年・15年という一定期間に払い終える方法。1回分の保険料負担は重いが、保険料総額はかなり抑えられる。
- 歳払済(歳満了):60歳・70歳という一定の年齢までに払い終える方法。1回分の保険料負担は終身払よりも重くなるが、保険料総額は抑えられる。
年払済(年満了)・歳払済(歳満了)は【短期払】とも呼ばれ、保険料を払い終えれば、後は負担0円で保障が継続されることになります。
終身保険の払込回数
払込回数は次の5種類があります。
- 月払:最もオーソドックスな支払い方法。毎月、口座引落やクレジット払となる。
- 半年払:年2回払とも呼ばれる。支払い額が多くなるので、口座引落がほとんど。
- 年払:年1回払とも呼ばれる。支払い額が多くなるので、口座引落となる。
- 全期前納:1回で保険会社に保険料全額を『預ける』形をとる。そのため、解約しても未経過分の保険料は返還される。
- 一時払:一括払とも呼ばれる。文字通り1回で保険会社に保険料全額を支払い終える。払い込む保険料総額は非常に軽減される。
全期前納と一時払は特徴は異なるものの、多額のお金が動くことに変わりはありません。
払込回数を全期前納と一時払にする場合は、ご家庭の大きな負担とならないかしっかり検討してから選択した方が無難です。
最初から貯蓄目的で加入する人も居る!?
終身保険は一生涯の死亡保障が約束される頼もしい商品ですが、終身保険の特徴は他にもあります。
それが【解約返戻金制度】です。
解約返戻金とは、契約者(被保険者)が中途解約をすれば、払い込んだ保険料が返還される仕組みのことです。
とはいえ、契約してから短期間で解約しても、払い込んだ保険料は全額戻ってきません。
払い込んだ保険料は生命保険会社が運用していくため、返戻率100%(保険料全額分)となるのは、それなりに時間を要します。
ただし、長期で契約を継続すれば、保険料全額分に【利息】が付くこともあります。
例えば、「解約返戻率110%」は10%分、契約者側に利益が出たことを意味します。
解約のタイミングさえ良ければ、契約者側にとって有利な解約返戻金額となる場合があります。
この利息付きの解約返戻金を受け取ることで、ご自分の貯蓄を増やすことができます。
つまり終身保険は、生きている契約者(被保険者)本人も得をする機能があるのです。
終身保険(貯蓄型)と定期保険(掛け捨て型)を比較!
こちらでは、終身保険(貯蓄型)と定期保険(掛け捨て型)の特徴を比較してみましょう。
比較 | 終身保険 | 定期保険 |
特徴 | 一生涯保障される | 一定期間保障される |
メリット |
・確実に保険金を得られる ・解約返戻金制度がある |
・保険料がリーズナブル ・保険の見直しがしやすい |
デメリット |
・定期保険より保険料は割高 ・終身保険のタイプによって、非常にリスクが高い商品もある |
・解約返戻金制度がない ・契約を更新しても一定の年齢になると保険は終了する |
上の表をみれば、終身保険・定期保険いずれにも一長一短があることはおわかりでしょう。
なお、定期保険の法人向け商品には、解約返戻金制度が設けられていますが、個人向け商品には解約返戻金制度は皆無となっています。
個人の場合、解約返戻金で資産運用をしたいならば、終身保険しかないので注意が必要です。
終身保険で資産運用をするメリットは?
保険のドリル読者
保険のドリル読者
死亡保障だけではない役割
契約者本人の資産運用と相続対策
学資金にも使える?
の3つについて解説します。
松葉 直隆
死亡保障だけではない役割とは?
終身保険は確実に受取人(遺族)へ保険金の下りる死亡保険ですが、契約者(被保険者)本人のために資産運用が可能な商品でもあります。
終身保険は、終身払・短期払いずれでも解約返戻金は受け取れますが、終身払で契約すると返戻率があまりUPしません。
短期払(年払済・歳払済)の方が、1回で支払う保険料負担は重いものの、払込期間終了後も、積み立てたお金は運用されていくので、利息はどんどんUPしていきます。
資産運用をより有利に進めるなら、短期払(年払済・歳払済)を選んだ方が良いでしょう。
契約者本人の資産運用と相続対策
終身保険は将来確実に発生する相続対策でも活用できます。
こちらでは、終身保険と相続対策について解説します。
まずは金融資産をコツコツ払う
ご自分が亡くなってから相続は開始されます。
相続財産には土地・建物のような不動産資産、現金・預金・株券等の金融資産が該当し、相続税の対象になります。
もちろん、わずかな不動産資産・金融資産が即、相続税として課税されるわけではありません。
相続税の基礎控除が設けられており、【基礎控除=3,000万円+(法定相続人の数×600万円)】を超えなければ、課税対象にはなりません。
とはいえ、それなりに資産のある人は相続人となる家族へ、重い相続税が課せられないか不安になるかもしれません。
そんな時に終身保険を活用するのです。
現金・預金の金融資産はもちろん、土地・建物等を売却し現金化しても構いませんが、その金融資産を保険料として払っていけば、徐々に金融資産は減っていきます。
非課税枠とは?
この保険料払込期間中にご自分が亡くなれば、もちろん死亡保険金は受取人へ下ります。
ですがこの保険金には、更に【非課税枠】が適用されます。
死亡保険金の非課税限度額は【500万円×法定相続人の数】です。
なお、この非課税枠は法定相続人(民法で定められた相続人)しか対象とならないので気を付けましょう。
解約返戻金の使い道
一方、終身保険を中途解約して、解約返戻金を受け取ったら、ここでもひと工夫です。
老後の資金として年金共々、ある程度余裕に暮らせる金額の解約返戻金は手もとに置き、残りの解約返戻金を家族へ徐々に贈与していきます。
家族一人につき贈与する金額は年間で110万円を超えない額にしておけば、贈与した家族に贈与税はかかりません。
そのため、相続人となり得る家族が多いほど、かなりの金額を生前贈与することができます。
こうして自分の財産を確実に減らしていけば、相続人に課される相続税の負担を軽減することが可能です。
子供のために貯蓄?
子供の将来の進学資金・学費に頭を悩ませるご両親は多いことでしょう。
この学資金を積み立てる場合も、終身保険を活用します。
学資保険はあるものの
子供の学資金を積み立てる保険商品は、もちろん販売されています。
それが【学資保険】です。
しかし、この学資保険の申込は被保険者(子)の年齢制限が厳しく、ほとんどの商品で就学前(5歳くらい)までとなっています。
他に回さなければいけない事情があって、申込みの時期を逃してしまうこともあるでしょう。
終身保険の年払済(年満了)を活用!
しかし、学資保険に加入し損なったからといって、学資金の積立を諦めるのは禁物です。
この場合には、終身保険の保険料払込期間を年払済(年満了)で契約してみましょう。
終身保険の中には、保険料払込期間が10年(年払済)と言う商品も販売されています。
子供が6歳のときに終身保険へ加入し、10年の保険料払込期間を設定すれば、子供が16歳の時に保険料を払い終えることになります。
そして、最もお金がかかると言われる、17・18歳の大学進学時に解約すれば、利息の付いた解約返戻金が受け取れることでしょう。
終身保険のデメリットってなに?
保険のドリル読者
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変額(投資)タイプには注意!
保険の見直しが難しい事態もある
解約したら死亡保障はどうする?
の3つについて解説します。
松葉 直隆
変額型(投資型)終身保険には注意!?
変額(投資型)終身保険とは、払い込んだ保険料を、株式・債券等を投資対象として特別勘定で運用する商品です。
運用成果に応じ、解約返戻金はもちろん死亡保険金額まで増減する終身保険です。
投資運用するタイプの商品ですので、成績によっては解約返戻金、死亡保険金額が大幅に増加し、契約者側へ有利となります。
一方、運用成績が悪ければ、期待していたような利益が得られず、元本割れ(払い込んだ保険料分が戻ってこない)という事態も想定されます。
この変額(投資型)終身保険は一時払専用の商品も多く、この場合は多額のお金が動くことになります。
投資運用が上手くいけば、返戻率200%(利息が元本と同額)までUPする場合はあります。
しかし、国内・海外の経済市場が混乱すれば、目も当てられない運用結果となるケースもありえます。
このタイプの商品を選ぶ際は、ハイリスク・ハイリターンとなり得る終身保険であることに十分注意しましょう。
保険の見直しが難しい?
前述のように、変額(投資型)終身保険や後述する外貨建て終身保険のメリットばかりに目を奪われ、勢いで保険加入をしたものの、リスクが怖くてやはり解約したいと思う人もおられるはずです。
ただし、一時払で払込を終えた場合、解約返戻金は受け取れるものの、長期の運用無しに十分なお金は戻ってきません。
これは保険料を月払・半年払・年払でコツコツ積み立てる場合も同様で、払込期間が終了し、据え置いて運用しなければ払い込んだ保険料よりも低い解約返戻金しか受け取れません。
低額しか受け取れない解約返戻金を懸念し、結局保険の見直しを見送るケースも多々あります。
貯蓄性は高いものの、リスクも高い商品を選ぶと、保険をやめたいのにやめられない事態も想定されます。
そんなことの無いように、保険を申込む前に保険会社や代理店の窓口担当者とよく相談しながら、冷静に加入を判断する必要があるのです。
解約したら死亡保障は無い!
終身保険を中途解約し、解約返戻金で大きな利益をあげることができても、解約している以上は死亡保険金はありません。
家族のために死亡保険金もしっかり用意したいと言う人は、保険料は余計にかかりますが、他の死亡保険に加入していた方が良いでしょう。
ただし、子供が独立したなら、家族の生活保障として多額の保険金を設定する必要はありません。
ご自分が葬儀費用のみに備えたい場合は、200万円~300万円の保険金を設定した方が無難です。
なぜなら、日本消費者協会「第11回『葬儀についてのアンケート調査』報告書(2017年)」によれば、日本全国の葬儀費用平均額は約196万円と言われているからです。
最近では葬儀の小規模化、簡素化が進み、ご自分が余程盛大な葬儀を希望しない以上、家族の出費を抑えるため、少額で保険契約しておいた方が無難です。
低解約返戻金型終身保険は比較的安全!?
保険のドリル読者
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松葉 直隆
資産運用のための終身保険!
低解約返戻金型終身保険は、保険料払込期間中の解約返戻率を抑えて保険料を安くした死亡保険です。
この保険料払込期間が終了すれば返戻率は一気にUPし、ご自分がタイミングを見計らい解約すると、高い解約返戻金額を受け取れるメリットがあります。
低解約返戻金型終身保険で資産運用すれば長期間(30年・40年)を要するものの、その分、高い返戻率となるので人気となっています。
もしも、なるべく速やかに返戻率を高めたい場合は、保険料を10年や15年の年払済で設定し、据え置いて運用した方が良いでしょう。
更に、保険料払込回数を月払ではなく半年払や年払、設定されていれば全期前納・一括払で契約すれば、1回分の保険料負担は重くなりますが、その分だけ短い期間で保険料負担から解放されるので、返戻率が高くなるペースは速くなります。
低解約返戻金型終身保険の仕組み
事例を挙げて、保険料や解約返戻率の推移を取り上げ、低解約返戻金型終身保険の仕組みについて解説します。
(例)
- 契約者:30歳男性
- 死亡保険金額:1,000万円
- 保険期間:終身
- 保険料払込期間:60歳
- 月払保険料:18,000円
経過年齢(年数) | 払込保険料累計 | 解約返戻金額 | 返戻率 |
35歳(5年) | 1,080,000円 | 723,600円 | 67.0% |
40歳(10年) | 2,160,000円 | 1,553,040円 | 71.9% |
50歳(20年) | 4,320,000円 | 3,205,440円 | 74.2% |
60歳(30年) | 6,480,000円 | 4,983,120円 | 76.9% |
60歳(払込期間終了直後) | 6,480,000円 | 7,121,520円 | 109.9% |
70歳(40年) | 6,480,000円 | 7,490,880円 | 115.6% |
80歳(50年) | 6,480,000円 | 7,834,320円 | 120.9% |
保険料払込期間継続中の返戻率は高くなっても7割程度に抑えられますが、払込期間が経過すれば一気に返戻率は急上昇し、表のように110%近くまで跳ね上がります。
返戻率のUPは、各生命保険会社が販売する低解約返戻金型終身保険の特徴、保険金設定額、保険料払込期間・払込回数で大きく変化します。
払い込む保険料に気を付けながら、ご自分にとって無理の無い負担で、資産運用を行いましょう。
低解約返戻金型終身保険の注意点
低解約返戻金型終身保険は、ご自分の将来の貯蓄UPに貢献できる商品ですが、注意点もあります。
保険料払込期間中は前述したように、返戻率は高くなっても7割程度で抑えられ、払込期間終了まで解約を待たないと、ご自分が大きく損をしてしまいます。
とはいえ、保険料払込期間中にまとまったお金が必要となる事態も想定されます。
解約を申し込めば保険会社側は迅速に対応してくれますが、いきなり解約を行わず、ご自分の貯金で何とかならないかをまず検討してみましょう。
そのため、何らかの理由で急にまとまった出費となるリスクへ備えるため、余裕資金の全額を保険料として積み立てず、その何割かを保険料へ充て、残りの何割かを普通預金として確保しておいた方が無難です。
大きな利益を求めるなら外貨建て終身保険
保険のドリル読者
保険のドリル読者
松葉 直隆
円建てよりも効率的に運用できる?
円建ての終身保険よりスピーディーに、かつ大きな利益を上げたいと希望するなら、【外貨建て終身保険】を検討しても良いでしょう。
外貨建て終身保険は、運用や解約返戻金、保険金の受け取りを米ドル、豪ドルやニュージーランドドル、ユーロ等の外貨(解約返戻金、保険金を受け取るとき円でも交換可能)で行う商品です。
とはいえ、保険加入者本人がいちいち契約通貨に両替して積み立て・運用するわけではありません。
保険会社が、日本円(外貨も可)で払い込んだ保険料を元手として運用する仕組みとなります。
ただし、円から外貨に交換する場合の手数料がかかります。
外貨建て終身保険は円建て終身保険に比べて、一般的に利率の高くなる傾向があるといわれています。
もちろん、契約通貨発行国の景気が良好なら、短期間でご自分が望んだ返戻率へ達し、解約して大きな利益を得ることができるでしょう。
外貨建て終身保険では、国内、海外の先進国・企業へ積極的に投資する変額タイプの死亡保険が数多く販売されています。
外貨建て終身保険の仕組み
外貨建て終身保険の仕組みについて、積立利率が年1.5%、年3.0%で一定に推移した事例を比較して取り上げます。
こちらみれば外貨建て終身保険のメリット、そしてリスクが良くおわかりになることでしょう。
(例)
- 契約者:30歳男性
- 基本保険金額:100,000米ドル
- 保険期間:終身
- 保険料払込期間:60歳
- 月払保険料:191米ドル
①契約者60歳時(30年経過)・保険料払込終了
項目/積立利率 | 年1.5% | 年3.0% |
解約返戻金額 | 70,394米ドル | 89,439米ドル |
返戻率 | 102.3% | 130.0% |
死亡保険金額 | 100,000米ドル | 100,000米ドル |
②契約者65歳時(35年経過)
項目/積立利率 | 年1.5% | 年3.0% |
解約返戻金額 | 74,831米ドル | 103,069米ドル |
返戻率 | 108.8% | 149.8% |
死亡保険金額 | 100,000米ドル | 104,099米ドル |
③契約者70歳時(40年経過)
項目/積立利率 | 年1.5% | 年3.0% |
解約返戻金額 | 79,259米ドル | 118,841米ドル |
返戻率 | 115.2% | 172.8% |
死亡保険金額 | 100,000米ドル | 120,029米ドル |
積立利率年3.0%ならば、保険料払込期間経過後でも解約返戻率130%の利益が期待できます。
更に解約せず、そのまま70歳で保険金が支払われる事態になっても、死亡保険金は基本保険金額を大きく上回る金額で受け取れます。
ただし、積立利率が年1.5%だと保険料払込期間経過後は、わずかに返戻率が高くなる程度で、ご自分が期待できる利益とならないケースもあります。
外貨建て終身保険の注意点
外貨建て終身保険の場合、運用成績が良ければ非常に大きなリターンは期待できるものの、保険の仕組みは複雑で考慮しなければいけないリスクがたくさんあります。
主に次のようなリスクを把握しておきましょう。
為替変動に大きく影響される
外貨建てで保険契約した以上、ご自分の選んだ通貨を発行する国が不景気ならば、運用成績は思うように良くなりません。
一方、通貨を発行する国で景気が良好なら、返戻率は高くなるものの、今度は解約返戻金を円に替える際、日本国内が円安に進むか、円高に進むかで大きな影響が出てしまいます。
このように外貨建て終身保険は、為替の変動に大きく影響される面があります。
更に為替は、国内や海外が単に好不況かだけで変動するわけでないという注意点もあります。
海外の戦争やクーデター、大規模テロ、重大な環境汚染、未曽有の大災害等、このような深刻な事態も為替変動の要因です。
そのため、保険料の払い込みがおわるまでの20年後・30年後の世界情勢は、誰にもわからないという安定な要素を含んでいることへ留意するべきです。
両替の際のリスクと手数料負担
外貨から円貨への両替の際、運悪く円高の時に解約返戻金や保険金を受け取ることで、大きな損失を出す事態も否定できません。
外貨建て終身保険は、元本保証(払い込んだ保険料分の保証)のない商品が多く、お金を受け取る際に大きな損害が出る場合もあります。
ただし、円高の際に外貨として据え置けるサービスがあるなら一安心です。
円高が収まったら、様子をみて円に両替できます。
その他、外貨建てでは保険料を払い込む時、年金受け取り時も、円貨・外貨の両替で手数料がかかります。
各保険会社では、およそ1ドルにつき50銭(0.5円)程度かかる場合が多いです。
一方、解約返戻金・保険金を受けとる場合、手数料は1銭~50銭と保険会社によって幅があります。
解約返戻金・保険金の額が大きければ、それだけ負担も増します。
そのため、国内経済が円安・円高傾向どうかも踏まえつつ、この手数料も考慮に入れる必要があります。
終身保険を申し込む前に注意すること!
保険のドリル読者
保険のドリル読者
返戻率だけで商品を選ぶべきか
定期保険の活用も考えるべきか
などについて解説します。
松葉 直隆
返戻率だけで商品を選んで大丈夫?
確かに終身保険では【返戻率の高い商品=人気商品】となっています。
しかし、終身保険の申込希望者は誰しも、貯蓄目的で加入したいわけではありません。
死亡保障はもちろんですが、自分が要介護認定を受けたとき介護保険金の下りる商品に関心のある人もいるはずです。
また、中高年以降にリスクが高まる、がん・心疾患・脳血管疾患の【三大疾病】を発症したら保険金が受け取れる商品に加入したい人もいるはずです。
このように申込希望者の数ほどニーズは異なるので、『人気商品に加入した方が無難』と、あまり保障内容をよく見ずに申込するのは避けましょう。
人気商品でもしっかり内容は確認し、他の商品とも比較することで、ご自分の理想に近い商品が見つかるはずです。
定期保険の活用も考える
死亡保険を貯蓄目的ではなく、死亡保障のみに活用したい人も多いはずです。
例えば、ご自分が働き盛りで一家の大黒柱として家計を支える中、退職するまで、または子供が独立するまで死亡保障を厚くすることが考えられます。
たとえその期間にご自分が亡くなっても、妻子が当面の生活に支障の出ないよう備えておけば、安心して仕事ができます。
しかし、当面の生活に支障が出ない金額は、生活費はもちろん子供の学費等も検討に入れる必要があるため、1,000万円単位の保険金設定が必要となるでしょう。
終身保険で多額の保険金設定は保険料が割高となってしまいます。
このような場合は、前述した【定期保険】で備えた方が良いでしょう。
定期保険で仮に1,000万円の保険金を設定しても、掛け捨てで保障期間も限定されているので、掛かる保険料は終身保険の半分以下の場合が多いです。
満期になれば保険料は戻ってきませんが、もしもの事態で潤沢な死亡保障を頼りにしたいなら、定期保険は有効な備えとなります。
世界的に未曾有の出来事もある!
日本だけでは無く、世界的に未曾有の出来事が起こることも考えられるでしょう。
日本の経済はもちろんですが、世界中が混乱するような出来事が起こった場合には、外貨建の保険はもちろんですが、円建ての保険にも影響が出る可能性は0では有りません。
円建ての保険は、保険料も日本円で支払い、運用も国内市場で運用する事から比較的安全ではありますが、世界的に混乱が起こった場合には、その影響は日本経済にも大きな影響が出る場合もあり、そうした際には、日本市場も混乱を起こす事から、外貨建の保険だけでは無く円建ての保険の運用にも大きな影響が出ることから、運用益などにも影響が出るかもしれないでしょう。
その様か事から、外貨建て終身保険をはじめ、外貨建て個人年金・養老保険で資産運用を行う環境は、非常に厳しさを増しています。
また、円建ての保険に関しても少なからず注意することも考えておきましょう。
このような未曽有の事態を踏まえ、どのような方法で資産運用を行うか、改めて検討する時期に来ているのです。
まとめ
終身保険は貯蓄目的で加入し、大きな利益を上げることが期待される死亡保険です。
しかし、終身保険のタイプによって、その仕組みや気を付けなければいけない点は異なります。
保険契約に臨む際は、保険の担当者からそのメリットはもちろんですが、運用リスクをしっかりと聞き出して、ご自分の納得の上で、契約手続きに進むことが大切です。